2016年F1モナコGPは前夜から続いていた雨のため、長い歴史のなかで初めて、セーフティカー先導によるスタートとなった。路面は次第に乾き、後半はドライのレースになったものの、多くのドライバーがアクシデントで戦列を去り、何度もバーチャル・セーフティカーが導入された。
波乱に満ちた一戦を制したのは、メルセデスのルイス・ハミルトン。2015年のタイトルを決めたアメリカGP以来、今シーズン初勝利を挙げた。昨年は、ここで手中に収めかけた勝利を逃しており、鬱憤を晴らす自身44勝目となった。
レースは全車ウエットタイヤでスタート、7周目にセーフティカーが退去して戦いの幕が上がる。ポールポジションからトップを走っていたレッドブルのダニエル・リカルドは堂々と再スタートを決めて、2番手のニコ・ロズベルグとの差を開いていく。
ロズベルグはブレーキの温度管理に苦しんでおり、明らかにハミルトンと比べてペースが悪かった。メルセデスは、16周目にハミルトンを前に出すように指示。どんどん乾いていく路面状況のなか、2番手に上がったハミルトンがリカルドを追う。