午後のセッション後半からサーキット上空にはやや暗い雲が広がり始めるなか、19時のナイトセッション開始を迎えた。気温は17度、路面温度は20度まで下がってきている。本日のミラノの日没時刻は19時51分。したがって、前半1時間は空が明るい状態での走行となる。
開始と同時にコースに飛び込んでいったのは、LMP1-Hの4台のみ。ポルシェ1号車はジャニ、2号車バンバー、トヨタ7号車が可夢偉、8号車が一貴というラインアップだ。トラフィックのいない環境も幸いしてか、計測1周目で早くも1、2、8号車が31秒台をたたき出す。開始5分を過ぎたあたりから、他クラスもパラパラとコースインしていった。
しかし開始15分が過ぎたところで、大粒の雨が降り出し、雷まで鳴り始めてしまう。トヨタの村田久武ハイブリッドプロジェクトリーダーは、これまでのテストにおいてロードラッグ仕様での雨のマイレージを稼げていないことから、「ウエットも走りたい」とコメントしていたが、その言葉どおり8号車のデイビッドソンがコースイン、7号車のコンウェイがそれに続き、周回を重ねていく。
一方のポルシェは、2号車のハートレー、1号車のタンディを相次いでウエットトラックに送り込んだ。時折雨量が変化するなか、LMP1-H勢は1分45〜50秒ほどのペースを刻んでいく。他にもGTクラスを中心に数台のマシンが雨のなかで積極的な走り込みを見せたが、大半のマシンはピット内での待機を選んだ。
20時前、7号車は国本がステアリングを握り、暗い雨の中へとコースイン。気温は13度まで下がってきた。8号車は一貴もドライブを担当し、その後ラピエールに引き継いでいる。20時25分には、この日初めてニッサンエンジンを積むLMP1の4号車バイコレスがコースイン。ゆっくりとしたペースでアウト/インしたのち、オリバー・ウェッブが連続周回に入っていった。この日はロバート・クビカの出番はなかった。
セッション残り15分を切ったところで、7号車には再び可夢偉が乗り込む。1号車も中盤にステアリングを握っていたロッテラーから、ジャニへとバトンタッチ。2号車はこれよりも早いタイミングで、ベルンハルトへとスイッチしている。セッション終了10分前、急に雨脚が強くなったところで各車ピットへと戻ってきたが、ここでバイコレスのマシンに異変が。ピットに帰ってきたマシンは、なんとリヤウイングが真っ二つに折れていたのだ。
ナイトセッションは雷鳴が轟くなかで終了。トヨタは7号車が43周、8号車が41周と、もっとも多くの周回数をマークした。上位陣は序盤のドライコンディション下でマークしたタイムがセッションベストとして残る形。一方で、およそ半数のマシンがタイム計測を行なわなかった。
セッション2終盤の段階でトヨタ7号車の可夢偉は「まだクルマ作っているところなのでなんとも言えないですけど、もうちょっと(マシン)バランスはやりたい。もっと良くはなると思います。いまのところは大きい問題もないですし、クルマをうまく作って、テストアイテムももう少しいろいろと試して、最終的にパッケージをどこまで持っていけるかというところをやっています。もちろんポルシェもそんなに本気を出しているとは思わないし、いまの状態で満足するのはおかしいと思う」と語っていた。
ここモンツァに合わせ込んだ仕様ではないことや、ポルシェ・トヨタともに独自のメニューをこなしていることなどから、簡単に勢力図について言及はできないが、ドライバーや首脳陣への取材を通して総合的にみると、トヨタに関して言えば概ね順調に開発が進んでいると考えてよさそうだ。
テストは明日2日も午前と午後、3時間ずつのセッションが予定されている。
