16時15分頃から、トラックには雨粒が落ち始める。空は明るく、完全に路面を濡らすまでには至らなかったが、ターン6出口でLMP2クラスの4番手につけるアルピーヌ36号車がコースアウトし、バリアにクラッシュ。マシン回収とバリア修復のため、セッションは赤旗中断となった。
16時35分にグリーンフラッグが振られたものの、小雨降るコンディションのためか各車は待機の状態となるが、やがてトヨタ7号車の可夢偉、8号車の一貴が相次いでコースイン。トヨタの2台のみがチェッカーに向けて『占有走行』する形となった。
17時にセッション終了。結局、このセッション序盤の8号車ラピエールのタイムが、2日間の全体ベストとなった。
このセッション、LMP2ではジャッキー・チェンDCレーシングの38号車が、GTEプロでは67号車フォードGTが、GTEアマでは澤の駆る61号車フェラーリが、それぞれクラスベストをマークしている。
走行を終えたトヨタ8号車の中嶋一貴は、前回のアラゴン(プライベートテスト)、そして今回のモンツァと走らせたローダウンフォース(ロードラッグ)仕様の仕上がりについて、「悪くないと思います。シャシー、パワートレイン含めて、基本的に順調にいっていると思います。仕上がりは80~90%くらいでは」と評価。
「(昨年まで開幕前テストが行なわれていた)ポールリカールに比べるとモンツァの方が(ロードラッグ仕様に)合っているというのもありますが……プロローグで『いい感じ』で走れるのは初めてですからね(笑)」
「昨年まではスパやル・マンに行かないと分からなかった部分が、ちゃんといい位置で戦えそうだな、というのは確認できました」と明るい表情でテストを終えた。
注目のルーキー国本は2日目の走行を「ウエットからダンプ、ドライと変わるなかでマージンを持って走っていたんですが、徐々に攻めていきました。タイヤの切り替わりのタイミングやトラフィック(の処理)も含めて、本当にいろいろと勉強できて、とても収穫のあるテストになりました」と振り返った。
レースデビューとなる第2戦スパではトヨタ勢のなかで唯一ロードラッグ仕様のマシンで臨むことになりそうだが、「いままでは耐久テスト中心でしたけど、今回はクルマを速くするという作業も加わってきて、チームメイトからいろいろと聞きながらそれができた。少しずつ慣れてきたし、ここからうまく自分の中で整理して、スパに臨みたいと思います」と、前を見据えている。
WECは2週間後、イギリス・シルバーストンで開幕戦を迎える。パドックの関係者は、「See you in Silverstone!」とお互いに挨拶し、つかの間、それぞれの場所へと戻っていった。
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auto sport 4月14日発売号では、注目のトヨタ日本人ドライバーを中心とした戦力分析やポルシェとトヨタの新LMP1マシンの詳細、トヨタ7号車クルーの座談会企画など、WEC開幕直前プレビュー特集を掲載予定です。
