■スパのトラブルはオー・ルージュ特有の原因
だが、スパではレース中盤まで独走していたものの、2台がマシントラブルで戦線を離脱。特にトップを快走していた中嶋一貴の5号車はリヤから白煙を上げてピットに戻ってしまった。ル・マンを前にした信頼性のトラブル、ファンにとっては24時間の本番に不安が残るかたちとなった。

しかし村田氏は、スパのトラブルが全くの想定外のもので、原因はスパ名物のオー・ルージュによるものだと明かした。
「オー・ルージュの壁に跳ね返されたというのが印象です。オー・ルージュを上る時に強烈な縦Gでマシンが路面を強打し、それが原因でエンジンにトラブルが出てしまいました」
「あの時はテレメトリー上でも異常なデータは出ていなくて、(中嶋)一貴も気づいていませんでした。ただテレビ映像で白煙があがっていたので、僕らも最初は何が起きているのか分かりませんでした」
「エンジン自体は正常に機能していましたが、強打したことで油が漏れ、排気管で煙が出たということ。それは確実です」
サルト・サーキットのフラットな路面では、そうした問題は全く心配していないと語る村田氏は、レースペースでもライバルのポルシェやアウディと十分に勝負できる、そんな自信をのぞかせた。
「戦闘力に関してはレギュレーション通りのキャラクターが出ています。エンジン単体の馬力が高いディーゼルエンジンはブーストしていない時の加速力が優れているので、アウディはその点のアドバンテージがあると思います。ポルシェは8MJになって2年目なので、いろいろな面が熟成されています。個々のコンポーネントの比較では全く負けていませんが、その使い方や始めに予選モードで後続を引き離すやり方など、オペレーションに関しては自分たちよりも1年熟成されている分、戦闘力があると思います」
「トヨタはどうなんだということですが、『ル・マンを見ていてください』というのが自分の回答ですね」
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■トヨタよ、敗者のままでいいのか
