更新日: 2020.04.28 11:25
アメリカン・スポーツカーの凄技を披露。ドイツ高級車ブランド群とガチ争い!/キャデラック CT6 実践試乗インプレッション
今やGM唯一(?)のグローバル商品となったキャデラックは、業界で“ジャーマンスリー”と呼ばれるドイツの高級車ブランド群=メルセデス、BMW、アウディを仮想ライバルとする。
そんなキャデラックのセダンを、BMWのラインアップにたとえると、最小のCT4が3シリーズ、CT5が5シリーズ、そして今回のCT6が7シリーズに相当する。
アルミボディを採用するCT6は、ドイツの競合車と比較しても、先進安全システムを含めて、なんら技術的に劣るところはない。日本仕様は3.65リッターV6ガソリンエンジンを積んでおり、車重は1950kg。
同じ6気筒ガソリンのBMW740i(の日本仕様)は1880~1930kgだが、ボディサイズはCT6のほうがわずかに大きいし、740iが2WDなのに対してCT6は4WD、しかもCT6の日本仕様は装備も最初からフル装備……ということを考えると、実質的にはCT6のほうが軽い。
CT6は走りも素直に素晴らしい。発売初期は欧州のライバル車を意識しすぎたのか、ステアリングの俊敏性と硬めの乗り心地が少し目立った。しかし、2019年5月のマイナーチェンジを経た最新型は、いい意味でアメリカン高級車らしい、おおらかでソフトタッチの乗り心地となった。
かといって、CT6の走りが鈍重で不正確なわけではないのは、電子制御連続可変ダンパーの恩恵もあるだろう。
速度を増すほどに余計な上下動もピタリと収束するし、四輪操舵のおかげで意外なほど小回りもきく。電子制御4WDもおかげもあって、3.65リッター程度(!)のトルクでは、シャシーの絶大な安定性が揺るがされる素振りすら見えない。
インテリアも最上級のセミアニリンレザーが張りめぐらされているのだが、ダッシュボード中央のスピーカーには“PANARAY(パナレイ)”という、オーディオ素人の筆者には見慣れないロゴが刻まれていた。
聞くところでは、パナレイとは米ボーズ社が展開する最上級のプロ用オーディオブランドという。そんなパナレイが自動車用として展開されるのはCT6が初で、専用開発された34スピーカーのシステムだそうだ。
……といったすべてが標準装備されたCT6の本体価格は1045万円。絶対的には高額だが、その内容を客観的に見れば、ドイツの同クラス車よりは明確に割安ではある。
■キャデラック CT6 諸元
車体 | |
---|---|
全長×全幅×全高 | 5230mm×1885mm×1495mm |
ホイールベース | 3110mm |
車両重量 | 1950kg |
乗車定員 | 5名 |
駆動方式 | AWD |
トランスミッション | 10速AT |
タイヤサイズ | 245/40R 20 |
エンジン種類 | V型6気筒DOHC |
総排気量 | 3649cc |
最高出力 | 250kW(340ps)/6900rpm |
最大トルク | 386Nm(39.4kgm)/5300rpm |
サスペンション(前/後) | ウイッシュボーン/マルチリンク |
ブレーキ(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク |
使用燃料/タンク容量 | プレミアムガソリン/72L |
車両本体価格 | 1045万円 |
■Profile 佐野弘宗 Hiromune Sano
1968年生まれ。モータージャーナリストとして多数の雑誌、Webに寄稿。国産の新型車の取材現場には必ず?見かける貪欲なレポーター。大のテレビ好きで、女性アイドルとお笑い番組がお気に入り