しかも、この2項目は封印を切ることなく、新しいものに交換できるアイテムなので、今回のメルセデス勢のようにトークンは消化するが、ユニットを新しいものにする必要がない。
テクニカルレギュレーションを見ると、点火装置の改良は1トークンが必要。一方、噴射装置の改良には2トークンが必要だと定められているため、どうやら今回メルセデスが改良してきたのは、噴射装置だと考えられる。もちろんユニットを新しくしなくとも、トークンを使用して改良できるパーツは他にもある。たとえば、燃料ポンプだ。実際イタリアのガゼッタ紙は「燃料ポンプ説」を唱えている。
しかし、あるパワーユニットマニュファラクチャーの関係者は「今回のメルセデスは燃料システムだけでなく、燃料も同時に改良してきたことを考えると、インジェクターを改良してきた可能性が高い」と分析している。現実問題として、燃料ポンブの改良にトークンを使用するとは考えにくいし、燃料を変える必要もない。こうした意見を総合すると、「インジェクター説」が有力だ。この予測が正しければ、メルセデスのセミHCCIシステムは、すでに第3段階に突入したことを意味する。成功すればライバルとのギャップが今後さらに広がる可能性も考えられる。