とはいえ、ルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルの0.652秒のギャップは、実際のペースの差よりも、かなり大きいと見るべきかもしれない。フリー走行2回目で、フェラーリがコース上に止まってしまった周にベッテルは自己ベストを更新しつつあったからだ。また、ベッテルのセクター1とセクター2でのベストは、ハミルトンと比べて100分の数秒しか違わない。あのトラブルがなければ、セクター3でのコンマ3秒の差を、どこまで縮めていたか。残念ながら誰にも知るよしはない。

 いっぽう、メルセデスのニコ・ロズベルグは燃料を軽くした状態でスーパーソフトでのアタックを2回行ったが、いずれもトラフィックや黄旗のため、最後までプッシュして走り切ることはできなかった。ロズベルグはセクター1とセクター2で、それぞれ少なくとも0.1秒を稼いでいながら、セクター3ではペースを緩めてしまった。

 フェラーリのキミ・ライコネンは、気温が低めのコンディションでタイヤを機能させるのに苦労し、ロズベルグより、さらに0.343秒遅いタイムに終わった。しかしベッテルのセクタータイムは、フェラーリとメルセデスの差が、それほど大きくないことを示唆している。

 タイヤの扱いが難しかったためか、金曜のセッションではソフトとスーパーソフトの「逆転現象」も見られた。マクラーレンのジェンソン・バトンはソフトでもスーパーソフトでもほとんどタイムに変わりはなく、彼がソフトで出した最速タイムは、チームメイトのフェルナンド・アロンソがスーパーソフトで記録したタイムを上回った。また、レッドブルのダニエル・リカルドはスーパーソフトでは意味のあるタイムを出していないが、ソフトを履いてスーパーソフトの僚友ダニール・クビアトやウイリアムズのバルテリ・ボッタスよりも速いタイムを刻んでいる。

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河村澪かわむらみお
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