だが、それはホンダがF1から撤退しないことが条件である。なぜなら、メルセデスはホンダの撤退を望んでいないからだ。つまり、ザウバーへの供給はマクラーレンがメルセデスにスイッチするための最低条件なのである。
ところが、ライアンが選任され、デニスとともにロングボウ・ファイナンスに対して、「ホンダとの契約を見直したほうがいい」という事態になると、マクラーレンがメルセデスからPUを供給してもらうという話はご破算となる。

もうひとつ、2018年にPUをザウバーに供給することになっているホンダにとって気がかりなのは、カルテンボーンの解任がほかのスタッフの去就に影響を与えることである。
というのも、現在、ザウバーで技術者たちをまとめているテクニカルディレクターであるヨルグ・ザンダーはカルテンボーンが抜擢した人事で、ロングボウはこの人事にもメスを入れる可能性があるからだ。
すでにホンダはザウバーのスタッフと来年に向けた技術的なミーティングを開始しており、そのトップがザンダーなのである。そのザンダーがザウバーを離れるようなことになれば、ホンダとの関係も見直される可能性があるからだ。
果たして、カルテンボーンの後任はだれになるのか。それはザウバーだけでなく、マクラーレン、メルセデス、そしてホンダにとっても、目が離せない決定となりそうだ。