「でもキミがすごく熱心な分野もあってね。それが子供との絡みなんだ。ある年、スパ・フランコルシャンで、ガンに侵された娘と写真を撮ってほしいと言って来た男性がいた。キミはOKしただけじゃなく、撮影後も30分以上も彼女と談笑し、冗談を言い合ってたよ」
「F1デビュー当時は、チームやスポンサー主催のイベントをすっぽかすこともあった。キミの興味は、とにかくドライビングだけだったしね。なので2001年に初めて仕事をした時には、まさかこの青年が将来父親になろうとは想像もしなかったよ」
「それが今、ふたりの子供の父親になって大きく成長した人間性を感じる。父として夫として、そして人間としても、いっそう素晴しい存在になった。イベントをすっぽかすこともなくなったし、スポンサーは大満足さ」
「とはいえF1で起きているたいていのことに距離を置く姿勢は、今もあまり変わってない。でも実はすごく温かくて、ユーモアセンスに溢れた男なんだ。周囲の人間たちを愛さずにはいられないし、どうしても気に入らない人間はただ無視する。変に偽善ぶったり、社交的になったりしない。キミはきわめて普通の、極めていいヤツだけど、でもこの世界にそういう存在がなかなかいないことも確かだね」
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