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F1 ニュース

投稿日: 2016.06.15 07:00
更新日: 2016.06.15 10:13

今宮純の決勝インプレッション:神と悪魔のハミルトン、失策とは言えない跳ね馬

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F1 | 今宮純の決勝インプレッション:神と悪魔のハミルトン、失策とは言えない跳ね馬

 こみあげてくる悦びを、おさえきれないルイス・ハミルトン。これでカナダGP、5勝目だ。ウイニングランでは観客にVサインを、表彰台インタビューでは名優マイケル・ダグラスさんに、はきはき答える“神対応”を。王者らしいふるまい、いい意味でスター気分のハミルトン、1戦の勝負で人は変わるものだと感じさせられた。

 開幕してから別人のように背中が小さくなっていた王者。シーズン3分の1終了となる第7戦で、9点差まで挽回、序盤4戦の時点で背負ったマイナス43点のハンデをこんなに早く、ひと桁に詰められるとは。116対107、モナコを制してモントリオールに飛んできた追跡する王者は完全にニコ・ロズベルグをとらえた。いや、数字以上に心理戦では優位に立ったと言えるかもしれない。

「スタート直後に風のせいで強いアンダーステアが出て、それでニコに接触してしまった。お互いダメージがなくてよかった」と、自己弁護したハミルトン。あたりまえだが、風はみんなに吹きつけているのに。明らかにダッシュに失敗してセバスチャン・ベッテルに先頭を奪われた数瞬後、1〜2コーナーでチームメイトに、ぎりぎりの“悪魔対応”。不適切かもしれないが故意ではないと主張するのがハミルトン特有の『言葉力』──。

 10メートルの強風と12度の低温コンディション、それでマシンがあおられてタイヤも冷えていたから、ああなったと……勝負断面に対峙したときの強気は勝負師ならではだ。ロズベルグは身を引き、軽い接触にとどめ、広い2コーナーのエスケープに逃れた。こうするほかなかった。10番手まで落ちて、同士討ちを回避したプレーをチーム内部は、どう解釈するか。トト・ウォルフたちは、またドライバー管理に頭を悩ますことになるだろう。


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