「ライコネンはベッテルのナンバー2として文句なしだ」と言ったアラン・プロストに同意するか否かはさておき、フェラーリにとって、2007年のワールドチャンピオンをキープすることで得られるメリットがあるのは明らかだ。
ライコネンは実直で、自分の誤りは素直に認める人物として知られる。今年の初めベッテルが言ったように、彼らの間に「変な駆け引きは一切なく」うまく協力しながら仕事ができるのだ。そして、それが不思議なほどの効果をもたらして、マラネロ全体に調和した良い雰囲気が生まれている。
もっと「尖った感じ」の未知の若手を迎え入れれば、この雰囲気が壊れてしまう可能性は十分にある。おそらくフェラーリは、ベッテルをライコネンよりもハードに、あるいは一貫してプッシュできるドライバーを雇うことよりも、このムードを保つことのほうが重要と考えたのだ。
また、来年はテクニカルレギュレーションが大幅に変わる。技術チームにとって不確実なことが多い時期に、ライコネンがもたらす安定性は心強いものかもしれない。彼はタイヤの状態を把握する感覚が抜群に鋭く、クルマの挙動に関するフィードバックの正確さでも定評があり、他のドライバーには感知できない問題点も指摘する能力を持っている。彼と一緒に仕事をしたことがあるエンジニアたちは、その点において彼は間違いなくトップクラスだと、口をそろえて言うほどだ。