ピレリタイヤのサイズと仕様が変わり、空力パッケージもドラスティックに変化する来年、ライコネンはテクニカルチームにとって、ぜひとも手元に置きたいドライバーだろう。近年テストが厳しく制限されていることを考えれば、経験の価値は一段と高まる。それは開発ペースの加速にも役立つし、貴重な時間を新加入ドライバーの「慣らし」に費やすことも避けられる。

 レギュレーション変更の結果として、来季のF1マシンがライコネンのドライビングスタイルに合ったものになる可能性もある。実際、見た目に派手なドライビングよりも、ミニマリスト的なスタイルを要求しそうな新規定の空力パッケージは歓迎すべきものに違いない。ライコネンは、自分がマシンを振り回すよりも「クルマに仕事をさせる」ことを好み、基本的なコーナリング能力の高いクルマのほうが本領を発揮できるからだ。

 ライコネンは全般的に硬めの現在のピレリタイヤ、特にフロントタイヤの特性になじめず、長い間苦労してきた。彼のきわめてスムーズなドライビングスタイルではタイヤをうまく機能させられないことが多いのだ。しかし、来年はタイヤの構造も全面的に見直されるため、この面でも「いったんリセット」されるかもしれない。

 ライコネン残留の発表は、彼が引退するのを待っているハングリーな若手の野心を挫くものだった。さらに言えば、現在のライコネンは、2000年代最初の数年間に多くの人をうならせたマクラーレン時代の彼とは、もはや別人と考えている人々にとっても残念な知らせかもしれない。

 だが、ライコネン自身は「これまでと変わらない良いドライビングができる」と考えており、フェラーリも彼が十分に優れたドライビングをしていると判断したのは間違いない。結局のところ、ドライバーがチームに残れるかどうかを左右するのは、そこしかないのだから。

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