レースが始まると次々と接触、イエローフラッグ、さらにはセーフティカー導入の事態に。そこで懸念したのは全域にまだデブリが飛散したままで、強風によって路面に散らかっている情況である。TVカメラに映らなくても、ドライバーも視認できない小さなモノがあちこちにあるのではないか(僕は集中した)。

 完璧にトップを走るボッタスが1コーナー手前で“犠牲者”になったのは49周目。

「右リヤのエアが失われている」と、一瞬遅れて僕は気付いた。デブリを踏めば内圧21・0(PSI)のエアが一気に抜けてバーストするのに、数秒もあれば十分だ――彼は“悪魔”を踏んでしまった。

2018年F1第4戦アゼルバイジャンGP バルテリ・ボッタス

 慚愧のこの瞬間に彼は何を思い、よろよろと道端に止めたのだろう。たんなるリタイアではない孤立無援な“サドン・デス”。凄まじい第4戦の悲劇の主人公バルテリ・ボッタス。

 その前に起きたレッドブル勢の1コーナー事件について。あの速度からやり合う二人のバトルはあの二人しかできない高度なプレーだった。

 チーム・ポイントとしては損失でも、レーサー魂を理解するレッドブルにはこれからも二人を束縛せず、名門や大メーカーとは違う“モーターレーシング”のカタルシスをアピールして欲しい。

 スタンドに飛び出さず、マシンも全損せずに止め、お互い怪我もせずに済ませたダニエル・リカルドの危機回避能力。もしわずかでも左右に動いていたらタイヤが絡みあい、宙を舞う大事故になるのを彼は未然に防いだ。それをマックス・フェルスタッペンは知るべきだろう。

2018年F1第4戦アゼルバイジャンGP ダニエル・リカルド

2018年F1第4戦アゼルバイジャンGP ダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がクラッシュ

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