マシンを降り悔しさを顕にするベッテル
 興味深いのは、ベッテルがクラッシュする直前の51周目のラップタイムでベッテルの1分29秒270を上回るタイムで走行していたドライバーがひとりだけいる。それがハミルトンだった。つまり、ベッテルの走りは必ずしも無謀ではなかった。では、なぜハミルトンはクラッシュせず、ベッテルはミスを犯したのか。

 もちろん、そこにはハミルトンの巧みなドライビングも関係していたのだろうが、そもそも今年のフェラーリとメルセデスには決定的に異なるマシン特性があることを忘れてはならない。

 それはフェラーリはストレートで速く、メルセデスは中高速コーナーで強い。ドイツGPの土曜日の予選でもセクター1と2で最速だったのはベッテルで、セクター3はボッタスがトップだった。

 ドライの予選ではフェラーリが速かったが、ウエットコンディションではメルセデスのほうが速くなっていた。それでも、51周目の時点でベッテルとハミルトンとの差は12秒あった。ベッテルは何を焦ったのか。

 考えられることはそのとき装着していたタイヤだ。ベッテルは25周目に交換したソフトだったのに対して、ハミルトンは42周目に交換したばかりのウルトラソフト。雨はすぐに止むという予報だったので、このまま2人はステイアウトして、レースは残り15周の勝負となる。

 そのとき、少し濡れた路面で有利なのは作動温度領域が低めに設定されているウルトラソフト。ベッテルにとって、12秒のマージンは決して十分ではなかった。

 もし、あのミスがなくても、ベッテルが勝てたかどうかは疑問だ。だから、ベッテルは言う。

「すべては雨だった。今日の僕たちには雨は必要なかったんだ」

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