しかしこの話は実現とならず、セルジオ・ペレスがルノーのトップターゲットとされている。少なくとも5年は要するであろうプロジェクトで、再建を大きな利益と考えるウイリアムズ、ルノーにとって、マッサは年齢的に十分な時間を共にできなかったようだ。

 マッサが歩んできたF1という道に風が吹き込み、そして最大限の尊厳と共に、彼はその道から外れる選択をとった。マッサはどんなに彼に近い人間が現役続行を促したとしても、引退を「数カ月前から決めていた」と話した。

 マッサは競争が激しいF1シートに居座る可能性はごくわずかだったと語り、顔を歪め、キャリアの下降期を過ごすよりも、顔が高く上がっている状態での引退を選択した。

 イタリアGP直前の発表で、マッサは粋な計らいをした。10年前のこの時期は、フェラーリからミハエル・シューマッハーが最初の引退宣言をし、マッサ自身がフェラーリ残留を決め、その後のキャリアを彩るキッカケとなった出来事があった。彼の履歴書には載せられないが、ワールドチャンピオンへあと一歩の経験は、この宣言があったからである。

 アスリートは本来、選手としてパフォーマンスが出せなくなり、チームから戦力外通告を受けた際に引退を考えるものである。しかし、トップクラスのアスリートになると、しばしば自身のタイミングでキャリアを終わらせたがる。その中でもベストなタイミングでの引退というのは数少ない事例であり、多くのアスリートに見られるのは、最初は最愛の人のような扱いをされても、ニーズがなくなると、最後は荒々しく手を振り切られるという場面である。

 楽しいことはいつしか終わりがくる。マッサはこれを認識しており、自身が思う一番適切な時期にF1ドライバーとしてのキャリアを終えたのだった。

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