そんな重苦しい雰囲気を吹き飛ばそうとしたのがベッテルだった。
リカルドに、「ミスター・クロコダイル・ダニエル、オーストラリア人ドライバーが母国グランプリを制したのは1980年のアラン・ジョーンズが最後です。みんなが期待しています。勝てますか?」という質問が飛ぶと、ミスター・クロコダイル・ダニエルと呼ばれたことにピンと来ない様子のリカルドを見て、隣にいたベッテルがリカルドに、クロコダイル・ダンディという映画あったことを説明。
そのあと、フェルスタッペンに「開幕戦に向けて、マシンが良くなっているはずと言いましたが、具体的にどこが?」という質問が飛び、フェルスタッペンが「それは答えられない」と返答すると、「ダニエルが後ろからナイフを持って近づくぞ!!」と言って、会場をなごませていた。
またオフシーズンに何をしていたかという質問を受けたクビサが、「答えるのが難しいなあ」と言うと、「だって、冬休みがみんなより長かったからね」と、際どいジョークを発していた。
辛いときにあえて明るく振舞うことで、明るい気持ちになろうとする人がいるが、この日のベッテルが意識して、そうしていたのかどうかはわからない。ただ、ベッテルは3年前のメキシコGPではホワイティングへの不満をFワードを使って無線でぶつまけたこともある。それは、ホワイティングなら、自分の正直な気持ちを伝えられるという信頼関係があったからではないだろうか。木曜日の会見で、ベッテルはホワイティングが特別な存在だったことを次のように語った。
「チャーリーは僕たちの仲介者だった。いつでも、何でも相談できた。彼は誰に対してもオープンで、ドアをずっと開けてくれていた」
ホワイティングの冥福を祈りたい。