それは中国GPのフリー走行1回目の終了間際にトラブルが発生したダニール・クビアトのパワーユニットの件だ。というのも、トロロッソが使用しているパワーユニットも、レッドブルに搭載されているパワーユニットも同じスペックだからだ。
データに異常が発見されたというトラブルは、「温度センサーが少しというレベルじゃなかった」という田辺豊治F1テクニカルディレクターの口調から想像するに、エンジンがどこかが物理的に壊れている可能性が高い。
問題は、そのトラブルの原因が何かだ。原因が特定のロットに不良品が存在していたバッチトラブルであれば、そのロットの部品をレッドブルのパワーユニットに使用されていないことが確認できれば、何も問題ない。
しかし、バッチトラブルでなく、燃焼システムに根本的な問題を抱えていたために発生したトラブルだということが判明すれば、そのスペックのままパワーアップを図るにしても、スペック2を投入するにしても、なんらかの見直しが迫られることになる。
さらにその決定を下すまでに時間があまりないことも問題だ。中国GPの金曜日にトラブルを起こしたクビアトのパワーユニットは、通関の関係で中国GP後にしか出国させることができず、4月17日(水)にようやく栃木県さくら市にあるホンダの技術開発研究所 HRD Sakuraへ到着した。
アゼルバイジャンも通関が複雑なため、もしアップグレードしたパワーユニットをアゼルバイジャンGPに投入するには、日本のHRD Sakuraから一度イギリス・ミルトンキーンズにあるHRD MKに輸送した後、イギリスからアゼルバイジャンに入国させないといけない。その場合、4月21日(日)には日本からイギリスへ出荷しなければならない。
つまり、調査して結論を出すまでの時間は4月17日から20日までの4日間しかないということだ。
果たして、HRD Sakuraで、ホンダのエンジニアたちはどのような決断を下すのか。その決定を見守りたい。