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F1 ニュース

投稿日: 2019.10.14 14:22

山本尚貴がF1初ドライブの経験以上に得たもの。週末の鈴鹿でもっとも印象に残ったF1ドライバー

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F1 | 山本尚貴がF1初ドライブの経験以上に得たもの。週末の鈴鹿でもっとも印象に残ったF1ドライバー

 2017年の山本はTEAM MUGENでチームメイトとなったスーパーフォーミュラルーキーのガスリーにほとんどの予選でタイムを下回り、ポイントラインキングでも勝つことができなかった。

「だけど、その時の苦しさと彼の努力する姿を見て、次の年、ふたつ(スーパーフォーミュラ、スーパーGT)チャンピオンを獲ることができた。本当にあの時、彼が隣にいたことで自分の弱さに気づくことができたし、自分の足りなさにも気づいた。去年のシーズンが終わったとき、その前の年に彼がチームメイトになってくれて本当に良かったと思ったんですけど、そこからピエールと1年以上、間が空いて、まさかF1で彼と同じクルマをシェアすることになるとはまったく思ってもみなかった(苦笑)」

「そしてF1でピエールに会いましたが、彼はあの時と同じようにF1でも努力を続けているんですよね。ミーティングで細かくメモを取っていたり、エンジニアと夜遅くまで話していたり。もちろんクビアトもしているんですけど、僕から見るとピエールの努力というのはかなりすごいものがありました」

「特に今の彼はF1で後がない状況に追い込まれていると思うので、精神的にもかなりキツイはずなんですよね。レッドブルではドライバーとして烙印を押されて、降格という形を受けて戦っている。それでも彼は決してめげない姿を見せるし、なんとしてでも這い上がってやろうという気持ちをすごく感じました。その来年に向けて頑張らないといけな時期に僕がクルマをシェアしてFP1を乗ることになって、本当に彼に対しては申し訳ない気持ちを感じた。それでも『それは大丈夫だよ』と割り切る強さも彼は持っていた」

「実際、今回FP2に向けて集中して、予選で最後のQ3まで進んだのは彼の努力の結果だと思いますし、決勝でも最後、彼のクルマは壊れていた部分があったんですけど、それでも後続を抑えてきちんと入賞して、チームがコンストラクターズランキングで本当に必要な時にポイントを持ってきたというのは、やっぱり彼はすごいなと思いましたね」と、年下ながらガスリーへの思いを一気に話す山本。

 もともと知っていただけでなく、同じクルマをシェアしたことでより、ガスリーのドライバーとしての能力、そしてその姿勢を間近で見た山本は、改めて大きな刺激を得ることになった。

「同じクルマをシェアした相手として、彼の結果(8位入賞)にホッとしました。僕が乗った後を受けてFP2でクルマを変な方向に進めてしまったら……という責任がありましたし、嬉しかったのはFP2の前、彼の乗る時間を奪った、F1に初めて乗るルーキーである僕に、彼は普通にクルマのことをずっと聞いてきたんですよね。それはある意味、僕を信頼してくれているから聞いてくれたのだと思いますし、僕に細かく聞く姿から、新人のフィードバックからでも何かヒントを得ようとしていたのを感じました。それも彼のひとつの努力ですし、やはりこの世界で残る人間というのは、そういうことが普通にできる人たちなんだなと感じました」

「僕も去年、ふたつタイトルを獲りましたが、当然それで甘んじてはいけないし、F1に乗ったあとで国内に戻って余裕を感じるかといったら、そんな余裕なんてひとつもない。レーシングドライバーは常に努力し続けないと生き残れないというのを、彼からまた改めて学ばせてもらいました」

「ですのでFP1で走ったという形以上に、終わってみたら僕は今回、こういうチャンスをもらって得るものが本当に大きかったと思いました。この経験をさらに形にしていかないと、今回得たものは意味をなさない。きちんと形にできるようにこれからも頑張っていきたいですし、頑張りたいと思わせてくれるようなモチベーションを得る機会をみなさんに今回、作って頂いたと思っています」

 山本にとっての次の正念場は、チャンピオンを懸けて戦う2週間後に迫ったスーパーフォーミュラ最終戦の鈴鹿。F1初ドライブを体感して盟友ガスリーから受けた刺激を、2週間後の山本はどのように我々に表現するのだろう。

2019日本GP鈴鹿F1山本尚貴初ドライブ
F1日本GP鈴鹿のFP1でF1初ドライブを果たした山本尚貴。チームメイトのクビアトの差はわずかコンマ1秒だった

2019日本GP鈴鹿F1山本尚貴初ドライブ
レース後にトロロッソ・ホンダのホスピタリティで握手する山本。「助かったよ」とガスリーは山本に声を掛けた
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スーパーフォーミュラで同じチームの杉崎公俊エンジニア(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)も鈴鹿に駆けつけた

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