レース後、メルセデスF1代表のトト・ウォルフは「彼はもともとルイスのデータエンジニア(パフォーマンスエンジニア)だったから、ルイスと仕事するのは初めてではないが、突然の配置転換は簡単なことでなかったはず。にもかかわらず、週末を通して、しっかりとレースチームをまとめてくれた」と、ダドリーの仕事ぶりを高く評価した。
そのダドリーをパフォーマンスエンジニアとして支えたのが、ドム・リーフシュタールだ。通常のレースではイギリス・ブラックレーのファクトリーからレースチームをサポートしているリーフシュタールにとって、パフォーマンスエンジニアは初めての業務となったが、金曜日から1ストップを見据えたセットアップを行い、パフォーマンスエンジニアとしてハミルトンのマシンをしっかりと仕上げていた。
「マーカスを支えてくれたドムにも感謝したい」と、ウォルフは緊急参戦したリーフシュタールの活躍にも賛辞を贈った。
このふたりとハミルトンを遠くイギリスから見守っていたのが、ボニントンだった。ハミルトンはメキシコGPの週末に、ボニントンと連絡を取り合っていたことを明かした。
「ボノ(・ボニントン)とは、サーキットとファクトリーをつないている専用回線で連絡を取っていた。さらにテキストメッセージでもやりとりしていた。彼の献身的な姿勢には頭が下がる思いだ。だから、スタート直後にマシンにダメージを負って、あきらめずにベストを尽くした。今日のレースをきっとイギリスで手を叩いて喜んでくれたと思う」
ひとりがみんなのために、みんながひとりのために——、まるでワールドカップラクビーで快進撃を続けるイングランド代表を見ているかのように、メキシコGPでのメルセデスは強く団結していた。
