だが当時チームを統括していたフライは、ロズベルグがシューマッハーを心理戦の達人だとする主張と内容について、その信ぴょう性に疑問を持っている。
「それが本当のことか、私には分からない。もし本当だとしたら驚きだ」とフライは『Flat Chat』のポッドキャストで語った。
「人々はミハエルを、このようにあらゆる手段を使う卑劣なドイツ人として特徴づけたがる。だが正直に言って、私はそのようなことは見たことがない」
「私が目にしたのは、素晴らしいチームプレイヤーでいるための優れた才能のある人物だ。私はコインの両面を見てきた」
「私がF1で仕事を始めた時に一緒だったのはジャック・ビルヌーブだが、彼は誰とも話さずにすむように、喜んでヘルメットをかぶったままマシンへ歩いて行くような人間だった。」
「彼はメカニックたちとほとんど親交がなかったようだ。彼らが誰なのか知らなかったかもしれないくらいだ。一方で、ミハエルは正反対だった」
フライは、自分の目標のためにチームを結集させる不思議な能力を持つF1の伝説のドライバーであるシューマッハーに、最大の称賛の気持ちを抱いている。
「彼は、自分が最高レベルでパフォーマンスを発揮するには、他の全員のパフォーマンスを最高レベルで発揮させる必要があることを心から認識していた人物だった。そして、それが彼が一定の期間に計り知れないほどの成功を収めた理由だ」
「ふたりのドライバーの間において、特に心理戦や愚かさなどは目にしていない。実際はまったく逆のことだった。私はミハエルがほとんど父親のように接しているのを見たのだ」
「結局のところミハエル・シューマッハーは、現在人々の心にあるよりもさらに高いところにいることになると思う」
