FIAは、リヤウイングのたわみについての検査の強化をF1第6戦アゼルバイジャンGPから導入するよう要求しているメルセデスおよびマクラーレンと話し合いを続け、この週末に正式な抗議が行われる事態を回避したいと考えている。
スペインGP後、FIAは技術指示書によって、現在規則に従っていないフレキシブルウイングが使用されている可能性があるため、フランスGPから取り締まり強化を行うと、各チームに通知した。現行検査には合格しても規則違反であるウイングの使用が、モナコとアゼルバイジャンの2戦にわたって許されることになり、特にメルセデスとマクラーレンがこのことに強く反発している。
バクーには、カレンダー中、最も長いストレートがあり、その長さは2.2km以上にもおよぶ。このサーキットではフレキシブルウイングを使用するマシンに顕著なアドバンテージがあるとみられ、1周あたり0.5秒もの大きなマージンがあると見積もる者もいるほどだ。
メルセデスのチーム代表であるトト・ウォルフは、モナコの週末に、「FIAがこの状況をすぐさま解決しない限り、バクーでは抗議が行われるだろう」と発言していた。
「スチュワードがフレキシブルウイングの禁止を決定しなければ、この件は国際控訴裁判所に持ち込まれる。裁判所での審議と決定には数カ月を要するため、バクーでのレース結果は長い間、宙に浮いたままになるかもしれない。それはF1にとって良いことではない。だからこそ我々は、新しいテストを後日ではなく、直ちに導入するようFIAに求めているのだ」
取り締まり強化で大きな影響を受けるのは、レッドブル、フェラーリ、アルピーヌ、アルファロメオであると考えられている。
レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、フランスまで改造版ウイングを導入するつもりはないとした上で、4チーム8台に抗議を行うことは不可能であるとして、抗議の懸念を打ち消している。
また、逆に自分たちはメルセデスのフロントウイングに対して抗議を行う可能性があるとも述べた。
「我々はメルセデスのフロントウイングに対して抗議するかもしれない。なぜなら、メルセデスのフロントウイングは他のどのマシンよりも大きくたわんでいるからだ。たわみによってスピードの優位性が得られるため、フロントウイングに関してもより厳しいテストを行うべきだ」
これに対し、ウォルフ代表は、W12のフロントウイングの合法性に自信を持っているとコメントしている。