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F1 ニュース

投稿日: 2021.08.06 09:25
更新日: 2021.08.06 10:08

ただの親バカではなかった⁉︎ アストンマーティンF1の裏にあるストロール父の壮大な戦略【大谷達也のモータースポーツ時評】

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F1 | ただの親バカではなかった⁉︎ アストンマーティンF1の裏にあるストロール父の壮大な戦略【大谷達也のモータースポーツ時評】

 今シーズンのF1マシンであるAMR21の発表に際して、ローレンスは次のように語っている。

アストンマーティンF1の2021年型マシン『AMR21』
アストンマーティンF1の2021年型マシン『AMR21』

「私のいちばんの夢は、F1チームのオーナーになることでした。そして2番目の夢はアストンマーティン・ラゴンダの主要株主になることです。そして今日、ふたつの夢がひとつになりました。そう、私の夢が実現したのです」

 つまり、アストンマーティンを買収し、ワークスチームとしてF1参戦を始めたのは、なにも息子ランスのためではなく、自分の長年の夢をかなえるためだったというのだ。

 まあ、ランスにF1シートを与えることが、本当のところどれだけ重要だったのかは知る由もないが、F1参戦がアストンマーティンにとって成功だったことは間違いなかったようだ。今年4月にムーアスCEOをインタビューした際、彼はこんなことを語っていた。

「(F1参戦を開始して以来)ウェブサイトのトラフィックが信じられないほどの勢いで増えている。SNSのアクセスもそう。F1参戦のおかげでブランドの認知度が急上昇している」

「しかも、コンフィギュレーター(新車購入を希望する顧客がどんな仕様にするかを決めるためのシミュレーター。アストンマーティンのオフィシャルサイトからアクセスできる)の利用数も増えている。今後は、顧客を対象としたF1向けイベントを開催してもいい。F1参戦は(ヴァルキリーに代表される)ハイパーカー・ビジネスへの技術移転にも期待が持てる」

 そして、ビジネスの拡大を目指すアストンマーティンにとって、ミッドシップスポーツカー市場への参入は必然的な帰結だったことをムーアスは認めている。

「アストンマーティンがミッドシップスポーツカーを手がけるのは、ビジネスを広げるうえで実に論理的な判断だった。ミッドシップスポーツカーのプログラムは大きな可能性を生み出している。ミッドシップスポーツカーだけで生産台数は年間3000台ほどになるかもしれない(同社の2020年の総販売台数は4150台)。これによって、アストンマーティンは将来的に幅広いブランドになるだろう」

 ミッドシップスポーツカーを手がけて会社の利益を増やし、その資金でF1チームオーナーになるという自分の夢を叶え、さらには息子にF1シートまで用意したローレンス・ストロール。そのビジネス・センスがバツグンであることは疑う余地がないだろう。

アストンマーティンF1チーム
アストンマーティンF1チーム

アストンマーティンF1チーム
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