最終的にホンダが使用しなかったトークンは「1」だったが、それは鈴鹿に向けたICE(エンジン本体)のアップデートが満足いく結果が得られずに投入を断念し、信頼性を向上させるために残っていた3つのトークンのうち2つを使用したもの。長谷川総責任者がこのアップデートエンジンを「スペック4ではなく、スペック3.5」と呼んでいるのはそのためである。
つまり、16年のホンダは事実上29トークンしか使用していなかったわけである。したがって、トークン制度が撤廃されたからといって、これまでアップデートできなかったものを自由にアップデートできるというような感覚は、ホンダのスタッフにはない。
その理由のひとつに、17年に使用できるパワーユニットの各コンポーネントが、16年よりも1基減ってそれぞれ4基となることも関係している。
「開幕前にトークンを使った後、シーズン中にトークンを使用できるタイミングは残りの3基を投入するタイミングしかないわけです。したがって、トークン制度が撤廃されたからといって開発の自由度がものすごく広かったかというと、決してそんなことはありません。時間やテクノロジーの制約のほうが大きいと認識しています」
そうなってくると重要なのは、17年のウインターテストまでにいかにパワーユニットを進化させておくかである。
ホンダの開発は、最後のトークンを使用したマレーシアGP以降、17年に完全に移行。すでに3カ月が経過している。17年のパワーユニットは、果たしてどんなものなのか。