■供給拡大によるホンダのメリット

 ザウバーとホンダの契約は、特に長期提携によって安定性が担保されるなら、マクラーレンも含めたすべての当事者にとって好都合なものになるだろう。

 まずザウバーは、徐々に不満をつのらせていたフェラーリとのパートナーシップに、終止符を打つことができる。2016年に彼らに供給されたパワーユニットのパフォーマンスと信頼性は、決して満足のいくものではなかった。その点、成功に飢えていて、開発が正しい方向へ進んでいるように見えるホンダのエンジンを使えれば、ザウバーが得るものは大きいはずだ。

 また、ハースがフェラーリとの関係を深めていることから、いまやザウバーはフェラーリ陣営の3番手という扱いに甘んじている。しかし、ホンダのカスタマーになれば、マクラーレンに次ぐ第2のチームになることができる。

 マクラーレンも、ザウバーとの契約を阻止しようとはしないだろう。もう一度レースウイナーになり、タイトルコンテンダーになるという野心を掲げる彼らは、ザウバーがその目的達成を妨げる脅威になりうるとは思っていない。その意味において、2015年のレッドブルからホンダへのアプローチは、マクラーレンを困惑させる事態につながりかねないと考えられたのだ。

 ホンダもF1復帰から2シーズンを経て、組織体制が最適化され、パワーユニットのサプライチェーンの管理も上手になってきた。第2のチームへの供給は、いまや十分に能力の範囲内であり、仕事量の増加が開発に大きな悪影響を及ぼすとは考えにくい。むしろ、供給先が2チームになれば、ホンダはそれだけ多くのデータを集めることができ、問題点を洗い出す機会も増えて信頼性の向上に役立つ。レギュレーションにより、シーズン中に使えるユニットの数が今後さらに減らされることを考えると、これは一段と大きな意味を持つはずだ。

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