Q1:F1の首脳陣は、なぜメカニカルグリップを上げるだけにとどめず、ダウンフォースも強化したのでしょうか? 前のマシンに接近して走るとタイヤがダメになってしまうという、昨年までの問題が繰り返されることになりませんか?

A1:なぜそうなったのか、私もぜひ知りたいと思う。質問者が言うように、タイヤの変更でメカニカルグリップだけを上げれば良かったのだ。もし私がルール変更に関与できたなら、空力によるグリップはむしろ減らしていただろう。

 だが、2016年までのタイヤの問題は、前車に接近して走ることだけで生じていたのではない。もともとタイヤにオーバーヒートしやすい性質があり、接近して走る状況では、それが特に顕著になっていたのだ。

ウイリアムズ『FW40』
ウイリアムズ『FW40』

 私に言わせれば、2017年のレギュレーションには多くの問題点がある。
 1)車幅が11%広がることでコーナーでの安定性が高まり、ドラッグもわずかに増える。しかし、それ以上に重要なのは、クルマの全幅が広くなれば事実上コースの幅が狭くなったのと同じだということで、特にモナコのようなレースではオーバーテイクが一段と難しくなる。

 2)フロントウイングは従来の複雑な構造のままなので、ダウンフォースレベルが増せば、タービュランスの望ましくない影響も大きくなるだろう。アンダーフロアが発生するダウンフォースは、これまでよりも多少はタービュランスの影響を受けにくくなりそうだが、パッケージ全体で見ると、これがもたらすメリットはそれほど大きくないと思う。

 3)今回のレギュレーション変更で、チームは研究開発予算の増額を強いられ、多くのチームでほぼ倍増した。どのチームにとっても新たに学ぶべきことが多く、シーズン中の開発は例年以上に大規模かつ急ピッチで進められるだろう。

 4)ただひとつ評価できるのは、サイズの変更によりタイヤのグリップが向上すると思われることだ(ただし、ピレリがそれを実現できたかどうか、いまのところ私には知る術がない)。トラックの荷台から降ろされた段階では、ザウバーのタイヤもメルセデスのタイヤも完全に同じものであり、タイヤのグリップが上がれば、追加のコストを要さずにラップタイムは確実に速くなる。

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