「本当にクールな事実だ」と混沌のレースを制した初代豪州王者のブラウン。「ワールドツアーの選手たちを前にどこまでやれるか分からなかったし、こんなレースで勝てたことは驚異的だよ。ドライ、ウエット、接触アクシデントにペナルティ、すべてが揃っていたからね(笑)。コンディションが刻々と変化し、リスタートでは僕もミスをした。本当にクレイジーだったけど、幸運にも赤旗が出てくれて後半はギャップを築いてコントロールすることができたよ」
明けた日曜のレース2は前戦トップ10のリバースとなるも、またも混沌とした展開で先頭発進のジロラミが出遅れ、背後のビョークらに飲み込まれていく。
続くラップでシビックRのミッションが息絶え、早くもSC出動となったレースは、前半から接触が多発し、アズコナはオープニングラップでパンク、エルラシェールも背後からジョーダン・コックス(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/プジョー308 TCR)に撃墜されてしまう。
そんな荒れた状況を10番手から生き抜いたブラウンは、ジャンプスタートのアーロン・キャメロン(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/プジョー308 TCR)を捉え、リードを引き継ぐことに成功。2位チェッカーのキャメロンも8位降格となり、ハフとフレデリック・バービッシュ(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)を従え、連勝のブラウンがアウディ独占の表彰台中央に登壇した。
迎えた最終ヒートは、ここまでの総合獲得ポイントでグリッドが決まる地元シリーズ特有の規則が奏功し、スタートでブラウンを撃破したハフがレースを支配。今度はブラウンのタイム加算で2位に上がったミケリスを抑え、優勝のハフが世界戦のスタンディングでも1点差に猛追する展開となった。
「最後のヒートは非常に良いスタートを切ったが、フレッド(バービッシュ)がインサイドにいた。でもターンインのときには彼の姿はなく、ありがたいことにチームメイトが部屋から出て行ってくれたことで、ターン1の主導権を握ることができた」と、レース2の接触で次戦1グリッド降格の処分を受けながら、タイトル戦線の主役に躍り出たハフ。
「そこからはブラウンに注目していた。彼は素晴らしい週末を過ごしていたからね。彼は世界戦のチャンピオンシップを目指してレースをしているわけではないが、僕にとって勝利はこの先のタイトルファイトでの違いを生む。最後はギャップが作れたのも素晴らしかったね!」
これで新生TCRワールドツアーは第7戦を、同TCRオーストラリアは第6戦を終え、前述のとおり続く11月10~12日には“聖地”マウントパノラマでの連戦が組まれている。