イギリスGB3選手権は2026年シーズンにタトゥースシャシー『MSV GB3-025』とエンジンにアップグレードパッケージを導入する。シーズン開幕を前に各地でテストが行われ、平均で2.3秒以上レコードを更新する進化を見せている。
モータースポーツ・ビジョン(MSV)が開催するGB3選手権は、FIA-F4やレーシングカートからステップアップする若手ドライバーを対象としたシングルシーターシリーズだ。なお、現在FIA F3に参戦するりー海夏澄(かなと)と山越陽悠が2025年に同シリーズへスポット参戦している。
2025年シーズンは、タトゥースとしては初めてDRSを搭載する『MSV GB3-025』シャシーに、280馬力を発するマウンチューン製2リッター4気筒自然吸気エンジンを搭載する新パッケージを導入したばかりだった。
ただ2025年シーズン終了前の9月に、シリーズを運営するモータースポーツ・ビジョン(MSV)が大規模な車両アップグレードパッケージの2026年導入を発表した。MSVは「MSV GB3-025での初シーズンの経験を基に、MSVはすべてのチームと緊密に協力し、選手権がどのように進化し、競技者にとっての魅力をさらに高めたいかを理解した」と、説明する。
具体的には、エンジンが2リッターから2.4リッターのマウンチューン製の新しい4気筒自然吸気エンジンに一新。新たな鍛造クランクシャフト、コンロッド、鍛造アルミニウムピストンに加え、完全新設計のシリンダーヘッドが使用される。エンジン強化に際し、トルクも25パーセント向上された。シャシー面では、空力効率の向上、バランスの改善、ダウンフォースの増加とドラッグ軽減を図るべく、新たな空力パッケージを搭載する。
ただ、アップグレード詳細を見ると、その多くがマシンの信頼性を確保するべく実施されたもののように見える。事実、MSVの最高経営責任者ジョナサン・パーマーはパフォーマンス向上についてのコメントに続き「重要なことは、完璧な信頼性の追求にも注力してきたことだ。新車での最初のシーズンでは避けられないことだが、改善できる点がいくつか見つかり、それらの改善に取り組むことに全力を注いできた」と、語っている。
そして、これらのアップグレードの大部分はチームに無償で提供されることも明らかにしており、「これらのコストが来年の選手権に参加するドライバーに転嫁されることはない」とGB3の公式サイトに記している。
新パッケージのテストはシーズン終了前の10月4〜5日に開始され、現役FIA F2ドライバーで、2024年のGB3ランキング2位のイギリス人、ジョン・ベネットが担当した。ベネットは「トルクが増えたことでパッケージ全体の性能が格段に向上した」とした上で、こう続けた。
「中速域のトルクが向上したことで、低速、中速、高速のコーナーでのスロットル操作に大きな違いが生まれる。俊敏なハンドリングを損なうことなく、クルマがより生き生きとした印象になっている。ドライバーたちはきっと気に入ってくれるだろう。間違いなくGB3のラップレコードを軒並み塗り替えるだろうね」
アップグレードパッケージは無事各チームにデリバリーされ、スネッタートン、ドニントン・パーク、シルバーストーンで開催されたプレ・シーズンテストでそのポテンシャルを発揮した。具体的には、これらすべてのサーキットでラップレコードを塗り替え、従来のベストタイムから平均で2.3秒以上のタイム短縮を叶えた。
シルバーストンのテストで最速タイムを記録したディーゲン・フェアクロウ(ハイテック)は、昨年もGB3に参戦したひとりだ。前年と比較し、「正しい方向への大きな一歩、というのが全体的な印象だね。ダウンフォースが増え、エンジンのトルクも向上したことで、運転するのが本当に楽しくなった。今のところ、このクルマに乗っているすべての瞬間を心から楽しんでいる」とコメント。
「昨年と比べて、高速コーナーではダウンフォースの増加が非常に効果的で、大きな進歩が見られるね。また、低速コーナーでは、コーナー脱出時に使えるトルクが増えているよ」
そのほかのドライバーからの評価も好調ということで、開幕での走りに注目が集まる。2026年イギリスGB3選手権は4月9日にブランズ・ハッチで行われるテストを経て、4月23日~26日にシルバーストンで開幕する。
■GB3ラップタイム比較(MSV発表)
- ●スネッタートン
- 2025年ベストタイム:1分40秒468
- 2026年テスト:1分37秒958(-2.510秒)
- ●ドニントン・パーク
- 2025年ベストタイム:1分22秒352
- 2026年テスト:1分20秒367(-1.985秒)
- ●シルバーストーン
- 2025年ベストタイム:1分51秒647
- 2026年テスト:1分49秒198(-2.449秒)



