ディクソンの強さはどこにあるのか? それは、バトルすべき時とそうでない時の判断が冷静かつ的確であるところだ。

「ディクソンは脅かせば引っ込む」など口にする者もあるが、必要な時に驚異的な集中力と実行力を発揮してきたからこそ、44勝もして4回もチャンピオンを獲得している。常にアグレッシブに走っていればいいというものではない。

 元チームメイトで、今はガナッシのフォード・チームでGTマシンを走らせているライアン・ブリスコはIMSAライムロックでディクソンの強さの源について聞いて見た。

「まず、鍛え抜かれたアスリートである。次にインディカーのコースを知り尽くしている。ガナッシで長いこと走っているからチームを熟知しているし、チームも彼のことを深く理解している」

「そして、彼はコース毎にどんなマシンが速いのか、どんなドライビングスタイルが適しているかを知っている。マシンが変わっても、それらの点でライバルを上回る理解度があるから、コースだけでなく、様々な状況に合わせた戦い方を展開することが可能なんだ」とブリスコは説明してくれた。

トロントで通算44勝目を挙げたディクソン

 トロントがまさにその通りのレースになっていた。ニューガーデンはリスタートでタイヤかすを拾ってクラッシュしたが、その時2番手を走っていたのがディクソン。彼はまんまとトップに立つと、2位以下を突き放して優勝した。

 序盤に無理なアタックを仕掛けてニューガーデンを抜く必要はなく、トップに立った後は単独走行でもプッシュ・トゥ・パスをストレートなどで短く使いながら後続との距離を、相手がアタックして来ようなどと考えない距離に保ち続けるスマートな戦いぶりでゴールまで走り切った。

 今のディクソンの弱点はチームメイトだ。インディカー2年目のエド・ジョーンズではクォリティの高いフィードバックは期待できない。チーム・ペンスキーが3人なのに対し、ディクソンは孤軍奮闘ということ。それでも彼は今年のタイトル獲得の現在最有力候補だ。

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