「そして、このFIA ESVはかつてのGr.Nの精神を復活させる。Gr.Nではディーラーで購入でき、必要な安全装備がすべて装備されており、基本的にそのまま競技で使用できる車両が販売されてきた。この方式と精神こそが、さまざまな分野や形式に適していると考えている」
そのボディワークは、競技向けの大径タイヤを収めるべくフェンダーやホイールアーチの拡大と、追加の冷却ダクトを組み込むためのマイナーな変更を除けばほぼ変更されず、車体の形状は基本的に維持されていなければならない。
また重量を削減するため、リヤハッチやドア、リヤウイング、ディフューザーなどの一部の車体パネルは、元の形状を維持する軽量素材で作られた同等品と交換可能になるという。
さらに同クラスでは、ロードカーの公認から最初の2年(24カ月間)で最低生産台数が300台以上の車種を対象とするため、プロトタイプや少量生産のEVは対象外となり、後輪駆動か4輪駆動で最小出力は300kW(約408PS)の設定とされた。
現状のロードカーでは、プラットフォームを共有する『ポルシェ・タイカン』や『アウディ e-tron GT』、さらに『メルセデスAMG EQE』や『BMW i4』、テスラの一部モデルが想定されるが、FIAとしては重量、空力、パワーユニットなどのさまざまな要素を検討する方法論に基づき、特定のパフォーマンスレベルに従ってグループ化することも視野に入れている。
「FIA ESVのルールセットは、市場の要求に完璧に応えている。この一連の技術規定があれば、メーカーのカスタマーレーシング部門は電気自動車の競技用バリアントを提供できるようになり、GT3と同様にかなりの収入源となるはずだ」と続けるFIA GTコミッション会長のルッツ・レイフ・リンデン。
「さらに、独自のワンメイクシリーズを作成するための扉も開くことができる。この規制が包括的であり、4ドアに対応しているという事実は、ロードカー市場の最新のトレンドを反映しているんだ。すでにいくつかのメーカーが、スポーティな4ドアグランクーペをラインアップしているからね」

