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ル・マン/WECニュース

投稿日: 2009.05.13 00:00
更新日: 2018.02.15 13:11

【プロジェクト・ロイヤルオーク】LMS第2戦スパ、KSM野田組、相次ぐトラブル、アクシデントを乗り越え、荒れたレースを執念の完走で入賞!


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ル・マン シリーズ2009 第2戦 ベルギー・スパフランコルシャン
『1000Km de Spa』
KSM野田組、相次ぐトラブル、アクシデントを乗り越え、荒れたレースを執念の完走で入賞!
総合28位、LMP2クラス5 位

ヨーロッパ各地を転戦する世界最大の耐久レース選手権「ル・マン シリーズ2009」の第2戦が、5月8日(金)から10日(日)、51台が参加して、ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットで開催されました。

野田英樹は、チームメイトのFrancesco Sini選手(イタリア)、Matthew Marsh選手(イギリス)と共に、昨年も在籍したKruse Schiller Motorsport(略称:KSM チーム名:クルーズ シラー モータースポーツ、ドイツ)のLola MazdaでLMP2クラスに参戦。

第1戦でエンジンが壊れてしまったことから新エンジンで臨んだ第2戦は、予選クラス9位ながらエンジン交換のペナルティーでクラス最後尾からのスタートに。しかし一時は3番手を走行する力走をみせながらもエンジントラブル、タイヤバースト、他車との接触事故、ミッション・トラブルと、様々なアクシデントに見舞われました。それでも粘りの走りで1周約7kmのコースを115周、5時間46分21秒のタイムで完走。順位は総合28位、LMP2クラス5位で入賞し、今季初ポイントを獲得しました。

8日(金)に行われたフリー走行は、あいにくの雨。新エンジンに載せ替えたばかりで調整不足は否めずトラブルが発生。パワー不足に加えてミスファイヤも重なるなどセッティングもままならない状況で、最終的にはターボが壊れてそのまま走行が終了してしまいました。

9日(土)、午前に行われたフリー走行もエンジントラブルでまともに走れず、マシンセッティングは全くできずに予選のタイヤチョイスすらできないまま終了。

同日午後からの予選はすべてにおいて「なるがまま」状態で走るしかありませんでした。予選までに野田がまともに走れたのは1周もなかったのです。その中でも46台中全体で21番目、LMP2クラス17台中でも9番目のタイムをたたき出しました。最高速で同クラスのマシンから30キロも離されてしまっていることを考えれば上出来でした。

10日(日)決勝。昨日までの雨やどんよりとした曇り空で身震いする寒さが嘘のように晴れ渡り、気温も19度まで上昇、午後0時50分、1周約7キロメートルのコースを143周、1000kmを走破するおよそ6時間のレースがスタートしました。

KSM Lola Mazdaは、クラスで9番目のタイムながらエンジンを載せ替えたことで、規定により予選順位から10ポジション降格で実質クラス最後尾スタートになりました。今回のスターティング・ドライバーは、野田が担当。

最後尾スタートからアグレッシブなレースを展開する野田。24分後アクシデントによるにセーフティーカー導入時に合わせ、他のチームに先駆け1回目のピットイン。予選でチョイスしたタイヤが気温上昇に合わないための交換と、このタイミングで給油もしてしまえば後半のピットストップ回数を減らせるという作戦でした。

この作戦と野田のアグレッシブな走りからスタート後1時間を経過した時点で総合13位、LMP2クラス4位の好位置につけます。その後2回目のピットインまでに3番手までポジションを上げ、チーム全体に良い緊張感と喜びが走りました。これは新型マシンを相手に3年前の旧形マシンでは最高のパフォーマンスであり如何にチームワークが素晴らしいかを物語っています。

しかし、1時間48分後タイヤバーストが発生。コース上でスローダウンしピットを目指しました。このタイミングで3回目のピットルーティンも行いドライバーもMarshに交代。タイヤバーストで負ったボディダメージの修復に時間を要しました。ピットアウトしてポジション挽回を目指しますが、僅か2周でアクセルワイヤーが切れてしまいます。その際に他車に追突されマシンにもダメージを受けてしまい万事休す。何とかピットにマシンを戻しますが修復に17分を要し大きくタイムロス。

序盤の快走は何だったのかKSMは試練に見舞われます。順位はクラス10位までに後退。その後8位にポジションを上げてSiniに交代しますが4時間が経過したところでGTクラスのマシンと接触し三度ボディにダメージを負います。それに加えエンジンのミスファイヤも発生。両方の修理のため終盤の重要な時間帯で手痛い15分のタイムロス。それでもレースから脱落するチームが相次いだことからクラス8位はキープ。

このままレースを終えようかという残り11分、なんとギアトラブルが発生し走行不能に。このままではリタイヤとなってしまいますが、不幸中の幸いでフィニッシュラインから約50メートルのところでストップしたため、チームは苦肉の策を講じます。KSM Lola Mazdaはスターターモーターを使ってフィニッシュラインを通過しレースを終了しました。順位は、クラス8番手。まさに手負いで執念のゴールでした。

しかし、レース後の車検では、アクシデントでダメージを負いながらもレギュレーションで必要な修復をせずに走行したマシンが4台あり、規定違反であることが判明。今回のレースは、2台がレース中に大きなクラッシュを演じドライバーはヘリで運ばれるなど荒れに荒れたレースでした。
その中で野田組のKSM Lola Mazdaは、総合28位、クラス5位入賞となり、次回のレースである大舞台ル・マン24時間に向け大きな自信に繋がった1戦であった事は間違いありません。

第2戦を振り返って野田英樹は、————-
「今回は、フリー走行からセッションのたびにエンジントラブルが発生し、まともに走れない状況でした。パワー不足は致し方なしとしても、エンジンが急にかからなくなったり、ミスファイヤが続いたり、アクセルワイヤーの切断、ギアトラブルとおよそ致命的ともいえるトラブルの連続でした。
それでも現状の中で精一杯の走りをすることが前進するための一歩だと信じています。現実にKSMのスタッフは一時3番手を走った喜びを共有しモチベーションアップになったはずです。

理解のある素晴らしいスポンサー各社の協力、有能なエンジニアとメカニックのおかげでハンドリングはとても良く、監督の作戦もなかなかのものでした。ダンロップも素晴らしいニュースペックタイヤを作って来てくれました。あとはエンジンの信頼性と性能面での向上に期待したいと思います。

次のレースは、いよいよ6月の世界三大レースであるル・マン24時間ですから、これまでの集大成とも言えるような走りをし、完走を目指します。」
—–と、大舞台 ル・マン24時間レースに向けて気持ちを切り替えていました。

KSM監督Hardy Schiller氏———————
「悪天候やトラブルの中でスタッフ全員良く頑張ってくれました。エンジンの問題には些か悩まされるところですが、今後のエンジンチューナーを信じたいと思っております。
ヒデキの今回の頑張りはプロとしての意地を感じました。あの状況下で予選、決勝とも最高のパフォーマンスを見せてくれたと思っております。 3番手を走った事はチームのレベルアップの証明でもあるでしょう。またチーム全員の思いが5位入賞に繋がったと思います。今後にぜひ期待してください。」
——と次戦に向けて明るいコメントでした。

■ 次回のレース日程
ル・マン24時間耐久レース スケジュール
開催場所 :フランス ル・マン市 サルテサーキット
レース日程:決勝スタート 6月13日(土)
フィニッシュ 6月14日(日)


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