「キミのフロアはQ1から壊れていた」(FIA関係者)

 アブダビGPの予選でフロア車両規定違反が発覚して、予選結果から除外されたロータスのキミ・ライコネン。レース審議委員会が審議を行っていたころ、パドックではハンガリーGPでもチームメイトのロメイン・グロージャンが同じような審議の対象となったが、結局、不問に付されていたため、今回もおとがめなしとなるのではないかと見通す者が多かった。

 ところが、その予測は見事に外れた。なぜグロージャンはOKで、ライコネンがNGだったのか? ライコネンはアブダビGPで「チームから1ユーロも給料が支払われていない」と過激とも受け取れる発言をしていたことから、「ロータスあるいはFIAからいじめられているのでは?」とまことしやかにささやく者さえいた。

 しかし、FIAのある関係者は「ハンガリーGPでグロージャンのフロアが壊れた状況と比べて、キミのフロアはQ1から壊れており、その後、Q2、Q3と多くのアドバンテージを得ていたため、見逃すことはできなかった」と話し、陰謀説をきっぱりと否定した。

 そもそもフロアが5mmたわむと、どんなアドバンテージがあるのだろうか。

 現在のF1マシンは“レーキ角"といって前傾姿勢をとるようにサスペンションが調整されている。そのため、フロアの前端部分が路面と接触しやすい構造となっている。フロアが路面と接触するとそれ以上車高は下げられないため、チームは地面に設置すると上方へたわむフロアを登場させたが、FIAもこれをすぐに規制。現在はフロアの前端部分に下から上へ向かって2000ニュートン(200kg)の荷重をかけて、5mm以上たわまないようなレギュレーションとなっている。

 チームは2000ニュートンの荷重に耐えられるよう、フロアの前端部分とノーズ下に支柱を設置しているのだが、ライコネンはQ1で縁石にフロアの前端部分をヒットさせてしまい、この支柱にダメージを負っていた。そのため、チームはレース前にFIAに申請して、同じスペックの支柱に交換してスタートに臨んだが、ライコネンは縁石にヒットさせる前にケータハムと1コーナーで接触し、リタイアに終わった。

■GPインサイド:
日本人F1ジャーナリストの尾張正博氏がグランプリの現場から、ドライバーやチーム首脳の生の声、パドックを賑わせているニュースの真相、レースのキーポイントやサイドストーリーなどを自身の取材情報からお届けする。
 

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