WEC世界耐久選手権に参戦しているアウディは12日、来シーズンのWECに投入する新たな『アウディR18 e-トロン・クワトロ』の技術的な詳細を明らかにした。来季F1で用いられるものと同様のスタイルと見られるエネルギー回生システム(ERS)も搭載されている。

 来季のLMP1では、ワークスチームにERSの搭載を義務付けることなどを含んだ新たな車両規則が導入される。アウディは今週初め、来季の新たなLMP1カーについて、現在と同じくアウディR18 e-トロン・クワトロの名称を使用すると発表し、画像1点を公開したが、技術面に関しては明らかにしていなかった。

 12日に発表された声明では、来季マシンの技術的な情報が明らかにされた。アウディによると、名称と外観こそ今季までのマシンを継承しているものの、新たなマシンは「事実上全てのあらゆるコンポーネントを再開発」しており、特にパワートレインに関しては大幅な変貌を遂げた「アウディ史上最も複雑なレーシングカー」になったということだ。

 後輪を駆動させるV6ターボディーゼルエンジンは、効率の観点からさらに開発が進められたほか、来季はふたつのハイブリッドシステムを採用。ひとつはこれまで同様、フライホイールを利用したブレーキング時のフロントの運動エネルギー回生システム(ERS-K)だが、こちらも最適化が施されている。

 そしてもうひとつが、排気の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する、熱エネルギー回生システム(ERS-H)だ。エンジン内のエレクトリック・ターボチャージャーがERS-Hとリンクしており、例えばブースト圧が限界に達している際に排気による回生を行うという。排気の熱エネルギーを回生するという考え方は、来季からのF1で用いられるMGU-H(モーター・ジェネレーター・ユニット-ヒート)と同様のものと見られる。

 ERS-Hで回生されたエネルギーも、フロントでのフライホイール貯蔵システムに蓄えられることになる。マシンが加速する際には、蓄えられたエネルギーをフロントの駆動、もしくはエレクトリック・ターボチャージャーに利用することができ、この運用は選択することができるという。

 また、新たなLMP1規定では、パワートレイン以外にも、車体寸法や安全性、エアロダイナミクスなども新たに規定されており、各部それに準拠した開発がなされたということだ。

 アウディは今週、アメリカのセブリングでこの新たなアウディR18 e-トロン・クワトロのテストを実施。アンドレ・ロッテラーとブノワ・トレルイエ、マルセル・ファスラーが参加したと言われている。

本日のレースクイーン

葵くみあおいくみ
2025年 / スーパーGT
チームマッハ 2025 エアバスター アンバサダー
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年7月号 No.1609

    【特集】LE MANS 2025
    “史上最混戦”の俊足耐久プロト頂上決定戦

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円