2014年10月07日
世界耐久選手権(WEC)第5戦 富士スピードウェイ プレビュー

富士山麓におけるハイスピードレース

日本. ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:マティアス・ミューラー)のLMP1およびGTのワークスチームは富士スピードウェイにて10月11日(土)、12日(日)に開催される世界耐久選手権(WEC)第5戦 ”Six Hours of Fuji”へ2台の919ハイブリッドと2台の911 RSRでエントリーいたします。

 長い歴史を誇るこのサーキットは、2005年の大規模な改修により近代化されました。世界に知られる1,500mにおよぶ長いホームストレートで919ハイブリッドの最高速度は300km/hに到達いたします。ロードラッグのコースはポルシェにとって望むべくものですが、ホームストレート以降には多くの困難が待ち受けます。第2セクターのヘアピンはハイダウンフォースが要求され、第3セクターは狭く曲がりくねっています。富士スピードウェイでは、オールラウンダ―であることが要求されるのです。これはWECのトップカテゴリーであり、もっとも革新的なLMP1に今年復帰したばかりのポルシェにとって、簡単なことではありません。すべてのコース、すべてのレースはまだ見ぬ新しい冒険なのです。

 ポルシェAGのLMP1プロジェクトのトップであるフリッツ・エンツィンガーは「我々は富士でのレースを楽しみにしています。前戦のオースティンでは力強いパフォーマンスを見せて予選2位と3位を獲得しました。決勝では最後に技術的なトラブルが発生しましたが、それ以前にはタイヤの選択も的中しゼッケン14の919ハイブリッドは43周に渡ってトップを走行しました。もう一方のゼッケン20の919ハイブリッドは豪雨の影響を受け、再スタート前には1ラップ遅れとなっていました。ゼッケン14がパワーを失った原因はサプライヤーから供給された冷却システムのパーツに空いた、ほんの小さな穴だということがレース後にヴァイザッハで行われた分析で判明しました」とレースに向けてコメントしています。

ロマン・デュマ(#14、919ハイブリッドドライバー)「919ハイブリッドでの初優勝を何度も掴みかけてきましたが、未だ達成できていません。歴史ある富士スピードウェイでは、2001年にJGTCのGT500クラスでレースをしたことがあります。コースは改修されているので、もう一度シミュレーターでしっかり練習していきたいと思っています。普段とは環境が異なる日本でのレースを楽しみにしています。」

ニール・ジャニ(#14、919ハイブリッドドライバー)「2012年のレべリオン在籍時にWECで富士を走りましたが、プロトタイプカーにとっては非常に難しいコースでした。特に第3セクターではドライビングポジションが低いので、クリッピングポイントが良く見えなかったことを覚えています。WECのレギュレーション変更によりシートポジションも幾分高くなったので、その点は改善されていることでしょう。富士スピードウェイはランオフエリアが広い近代的サーキットであり、コースから望む富士山の景色は素晴らしいものです。特徴的な長いストレートの後のレイアウトは流れる川のようで、最終セクターでは大きなダウンフォースが要求されます。エアロダイナミクスのセッティングさえ決まれば、大いにチャンスはあると思います。」

マルク・リーブ(#14、919ハイブリッドドライバー)「富士スピードウェイでは2012年に911 GT3 RSRで、2013年には911 RSRでレースをしていますが、熱狂的なファンが作り出す特別な雰囲気はとても気に入っています。美しい富士山を始めとする環境も素晴らしく、コースレイアウトは長い直線と低速コーナーが組み合わさりバラエティに富んでいます。昨年のレースはセーフティーカーの後ろで始まり、グリーンフラッグが振られることなく中断されましたが、今年も天候が大きな要因となることは間違いありません。」

ティモ・ベルンハルト(#20、919ハイブリッドドライバー)「まだ富士スピードウェイでのレース経験はありませんが、コース改修直後の2006年にカレラカップ ジャパンがタイプ997の911 GT3 Cupを導入した際にインストラクターとして走ったことがあります。同乗走行も含めてたくさんのラップを重ね、長いストレートも存分に楽しみました。富士のレイアウトはオースティンよりもさらに919ハイブリッド向きだと思います。2006年も雨だったので、私は雨の富士しか知りません。」

ブレンドン・ハートレー(#20、919ハイブリッドドライバー)「富士で走るのも日本に行くのも初めての経験です。日本という国、そして富士スピードウェイに関して色々な良い話を聞いているので、非常に楽しみにしています。オースティンの結果は残念でしたが、路面が冷えている時に919ハイブリッドは優れたペースで走ることができました。富士でのパフォーマンスには自信を持っています。コースについてはシミュレーターで学んでいますし、急激な天候の変化への対応もオースティンで経験しました。どんな状況にも対しても、しっかりと準備を重ねることが大切です。」

マーク・ウェバー(#20、919ハイブリッドドライバー)「F1時代に2度レースをしたことがある富士スピードウェイに戻れることを楽しみにしています。長いストレートとタフな第3セクターが組み合わさり、1ラップをまとめるのが非常に難しいコースであることは充分承知しています。複合コーナーではクルマのバランス、そしてブレーキングのテクニックも要求されます。良い思い出ではありませんが、一度レース前に食中毒を起こしたことがあります。それでも富士でのドライビングは毎回楽しんでいますし、美しい富士山の風景も愛しています。富士スピードウェイでのスポーツカーレースは、熱狂的なファンで溢れかえるイベントとしてドライバーたちにも知られています。日本にはたくさんのポルシェファンが居ると聞いているので、その声援が我々を後押ししてくれることを願っています。」

 2012年にポルシェは得意とする富士山の麓に位置するこのサーキットにおいて、911 GT3 RSRで見事勝利を収めています。昨年のレースは豪雨のため幾度かの中断を経た後、セーフティーカーの後ろで隊列を組んだまま終了となりました。

 今年のWEC富士ラウンドは、フランク=シュテッフェン・バリサー博士がポルシェ モータースポーツ GTカテゴリーのトップに就任してから初めてのレースです。

 イェルク・ベルクマイスター(ドイツ)とリヒャルト・リーツ(オーストリア)はGTE-Proクラスで初めてペアを組みゼッケン91の911 RSRに乗りこむことになります。フレデリック・マコヴィエッキとパトリック・ピレのフランス人コンビはゼッケン92の911 RSRをドライブいたします。GTE-Amクラスでは2つのカスタマーチームが911 RSRを走らせる予定で、ポルシェ ジュニアであるクラウス・バハラー(オーストリア)は、プロトン コンペティションからエントリーします。

 470馬力を誇るポルシェ911 RSRは、第7世代のポルシェ911をベースとして2013年にデビューし、その年のル・マン24時間では見事ワン・ツーフィニッシュを成し遂げています。2014年シーズンに向けて多くの箇所が最適化された911 RSRはWEC開幕戦のシルバーストーンで勝利を挙げたほか、北米で開催された伝統ある長距離レースのデイトナとセブリングでも優勝しています。

フランク=シュテッフェン・バリサー博士(ポルシェ モータースポーツ GTカテゴリー責任者)
「新たなポジションにおける最初のレースを楽しみにしています。先のオースティン戦でチームは力強いパフォーマンスを見せてくれましたが、その努力が富士では結果に繋がることを望んでいます。間違いないのはタイトル獲得のためにベストを尽くし、少しでも上位を目指すということです。」

イェルク・ベルクマイスター(#91、 911 RSR ドライバー)「昨年は豪雨により目標を達成することができませんでした。今年は天候に恵まれることを祈っていますが、オースティンでのレースでも分かるように多少のウェット路面であれば、さらに優位に立てると思います。今シーズンは日本のスーパーGTでも911 GT3Rをドライブしたので、また日本に戻れることを楽しみにしています。」

リヒャルト・リーツ(#91、 911 RSR ドライバー)「腕のケガのためオースティンのレースでステアリングを握ることはできませんでしたが、WECに復帰するため一生懸命トレーニングを行ってきました。ポルシェが富士を得意としていることはすでに証明済みです。私自身、2012年のレースでは勝利し昨年も決勝レースは残念ながら嵐のため中断となりましたが、プラクティスでは素晴らしいパフォーマンスを見せつけました。」

フレデリック・マコヴィエッキ(#92、 911 RSR ドライバー)「シーズンを通して我々の911 RSRは進化しています。そして今回コンビを組むパトリックは本当に速いドライバーです。オースティンでは幾度もトップに立ちましたが、僅かな差で優勝に届きませんでした。今回はトップでゴールできることを期待しています。私は尋常でなかった昨年のレースで勝利したので、富士は運が味方してくれるサーキットなのかも知れませんね。」

パトリック・ピレ(#92、 911 RSRドライバー)「富士スピードウェイは面白いコースですが、攻略するのは決して簡単ではありません。いくつかの高速コーナーでは注意深くなる必要があり、そこに組み合わさる低速コーナーも同様です。幸いにも富士は911 RSR向きのサーキットなので、最高の結果を手にしてポルシェに大量ポイントをもたらすことができると確信しています。」

 富士スピードウェイで開催される“Six Hours of Fuji”の決勝レースは10月12日(日)の午前11時にスタートし、6時間後の午後5時にフィニッシュする予定です。

ファクト&フィギュア
○1500mにも及ぶストレートで919ハイブリッドの最高速は300km/hを超えることが予測されます。
○レギュレーションによると、919ハイブリッドは1ラップごとに3.11メガジュールのエネルギーの回生および使用が許されています。 1ラップで消費されることが許されているガソリンは僅か1.8リットルです。セーフティーカーが入らない通常のレースコンディションにおける給油量は68.3リッターに制限されているため、919ハイブリッドは38周ごとにピットインし給油する必要があります
○シミュレーションによると、今回の6時間レースにおける走行距離は最大で1,132km、248周です。
○活火山である富士山が最後に噴火したのは1707年です。標高は日本最高の3,776.24mに達し、霊峰として崇められています。
○富士スピードウィは2005年に改修され、2007年と2008年にはF1が開催されました。
○サーキット周辺における10月頃の天候は非常に不安定です。昨年のWECレースは豪雨のため中断されました。

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