ルノーF1の元エグゼクティブディレクターオブエンジニアリングのパット・シモンズが、世界モータースポーツ評議会に対して書状を送り、不正にかかわった過ちを永久に悔いると述べると共に、故意のクラッシュはネルソン・ピケJrから提案されたものであったと再度明言した。
2008年シンガポールGPの不正事件に関しピケが証言を行い、この一件に関与しているとされたシモンズはチームを去ることとなった。ピケ同様にシモンズも、FIAから“刑事免責”を持ちかけられたが、シモンズはこれを受け入れず、世界モータースポーツ評議会のヒアリングを欠席した。しかしシモンズはWMSCに対して書簡を送り、自分の行為に対する自責の念を表し、一方でクラッシュによってチームメイトのフェルナンド・アロンソを有利な立場に立たせるというプランはピケから持ちかけられたものであったとも改めて明確に述べている。
「この事件における自分の役割を認めたい」とシモンズは記している。
「このアイデアがネルソン・ピケJrから最初に私に示唆された際に、私は速やかにそれを却下すべきだった。そうしなかったことを私は永久に悔やみ、残念に思う。私はこの行為を、チームへの誤った献身の気持ちから行ったのであり、いかなるものであれ個人的な利益のために行ったのではないということだけは言える」
「チームを現在のポジションまで持っていくために果たしてきた役割こそが私のライフワークであると考える。私は28年前、わずか19名のスタッフと共に、今のチームの核を作り上げた。今日ではこのチームは500人を超える従業員を直接雇用し、無数の地方および国際的なビジネスをサポートする組織に成長した。私は、このチームと、私が大きな責任を負う多数の人々を危険にさらすことだけは何があってもしたくないと思ってきた。たったひとつの行為によって私はモータースポーツにおける33年のキャリアにおいて築き上げてきた自分の高い評価を台無しにしてしまった」
「私は競争心が強い人間であり、大きなプレッシャーの中で働いてきた。こういった環境は時に判断を鈍らせることがある。私はいつも正直な人間であろうとしてきた。事実、ベルギーでスチュワードに対して行った私の陳述を見れば、それは分かっていただけることと思う。昨年のシンガポールのあの夜、私は過ちを犯した。その結果をその時私は想像することができなかった。この過ちに関し、私は、すべての方々、私がかかわった行動によって衝撃を受けたすべての人々に対し心から謝罪することしかできない」