2010年はオールインクル・ドットコムチームからランボルギーニ・ムルシェラゴでFIA GT1世界選手権に参戦していたドミニク・シュワガー。2008年のスーパーGT(第5戦SUGOでカルソニックIMPUL GT-Rから、第6戦鈴鹿でMOTUL AUTECH GT-Rから参戦)以来日本とは少しご無沙汰しているが、ニュルブルクリンク24時間やFIA GT1でも日本から応援に訪れるファンがいるなど人気は健在。そのドミニクに2010年を振り返ってもらいつつ、アメリカでの挑戦に向けて意気込みを聞いた。

Q:ドミニクにとって、FIA GT1に初参戦した去年は振り返ってみてどうだった?
ドミニク・シュワガー(以下D):僕にとっては世界選手権に参戦するのは初めてだったし、特別な1年だった。一部を除いてドライバーのレベルは非常に高く、ランボルギーニ・ムルシェラゴはとても素晴らしいパフォーマンスを出せるマシンで、1シーズンを通して参戦出来たことは僕自身にとってはとても有意義だったと思う。だけど、難しいことも多かったけどね。ポディウムに立てなかったことが一番悔しいよ。

Q:シーズンを通してあなたはいつもQ3の常連だったのに、レースになると本領を発揮できなかったことがあったのは、その難しかったことと関連するの?
D:まず、チーム体制かな。チームはラリークロスなどでも活躍するチームで、過去にもFIA GT1にも参戦していたけれど、ドライバーも含めて、エンジニアもメカニックも新規に全員が去年に新しく入れ替わったチームだから、最初はまとまりがなかった。そのせいもあり、ピットストップに時間が掛かり過ぎて、勝てるレースで何度涙を呑んだことか。シーズン終盤にはとても良いチームに成長したけどね。

Q:“バランス・オブ・パフォーマンス”によってある程度は性能の均一化がされているFIA GT1で勝つ為には何が一番重要だと思う?
D:まずは予選でできるだけ良いポジションを取ること。微妙なセットアップの調整、そしてタイヤの使い方。ピットストップも特に重要だね。スプリントではピットストップの2秒が命取りになるから。

Q:タイヤはレースウイークでたった4セットしか使用が認められてなかったけれど、それをどうドミニクは捉えた?
D:これは本当に難しかったね。特にムルシェラゴはリヤタイヤの消耗がとても激しく、レース終了までもたせるのが至難の業だったよ。僕にもチームにとっても初めて走るサーキットがいくつもあって、コースを覚えるためにフリープラクティスで周回をこなすべきだけど、その後に控える予選や予選レース、決勝レースまでタイヤを温存するためには諦めなければならなかったからね。今年は6セットまで使用可能になるから随分と余裕が出来ると思うよ。

Q:コンビを組んだニッキー・パストレッリは、ドミニクから見てどんなドライバー?
D:F3000でチャンピオンを取って、F1ミナルディのサードドライバーを務めていたからスキルには全く文句ないね。去年一緒にコンビを組んで、人間的にもお互いがよく理解出来たと思う。スプリントレースでは、コンビのふたりが似たレベルで、セットアップなどの方向性が同じでないと絶対に成功しないから僕はパートナーにはとても恵まれたよ。

Q:FIA GT1では一人がドライブする時間は20分ちょっと。その中で自分のパフォーマンスを出し切るのは難しかった?
D:難しいと言えばそうかも知れないね。スーパーGTだとシーズン前のテストの回数は多いし、タイヤも存分に使えたけれど、FIA GT1はそうはいかない。全く知らないサーキットもタイヤの消耗の事を考えると数ラップだけ走って、コースを覚え切るまでに予選が始まる。予選ではひとつでもポジションを上げる為に全力を出すから、ひとつ間違えばコースアウトしてマシンが使い物にならなくなるリスクがあった。しかし、だからこそ僕自身が持っているパフォーマンスを短時間の間に最大限出すことは、僕にとっての最大の挑戦だったし、このレースの魅力でもあった。これが世界選手権の醍醐味のひとつでもあるんじゃないかな。

Q:(ニッサンGT-Rで参戦した)荒聖治選手は「外国人ドライバーはとてもアグレッシブ」と言っていたけど、ドミニク自身はアグレッシブだと思う?
D:僕にはこれがノーマルだからアグレッシブだとは思っていないよ(笑)。ヨーロッパのレースはこうだからからね。ただ、FIA GT1中でも、『アグレッシブ』と『バカ』を勘違いしているドライバーが数人いるね。その後者のために僕を含めてリザルトを奪われ、マシンを壊されて悔しい思いをしたよ。

Q:FIA GT1でどのサーキットが一番のお気に入り?
D:アルゼンチンのサン・ルイス! アップダウンも含め、高速コーナーと高度なテクニックを要する箇所が混じっていて、とても攻略し甲斐のあるサーキットだったよ。強いて言うならば、モナコの大きいバージョンって感じかな。

Q:FIA GT1では、かつてスーパーGTで活躍した荒、ピーター・ダンブレック、ミハエル・クルムなど選手がそろい同窓会状態だったけど、彼らとパドックなどで話したりする機会はあったの?
D:特にピーターとは日本にいる時からとても仲が良くて、よく一緒に遊びに行った仲だから会えば色々と話していたね。でもFIA GT1はスケジュールがタイトで、中々ゆっくりみんなと話すことが出来なかったよ。

Q:FIA GT1以外の活動では、去年はニュル時間では総合6位に入賞したけど、今季の予定は?
D:ちょうど公式に発表されたばかりなんだけど、ALMSにGT2クラスのランボルギーニ・ガイヤルドで参戦することが決定したよ。それも、パートナーはまた去年同様にパストレッリ! FIA GT1にも引き続き参戦したいと強く願っているけど、ニュル関係のレースも含めてまだ話し合いの最中だね。

Q:プライベートでは最近どうしてるの?
D:やっと念願の引っ越しを果たしたばかりなので、新居がとても心地いいよ。ただ、忙しくてあまり家に居られないのが残念。この冬は大好きなスノーボードにもまだ1回も行けてないんだよ。

「去年は日本に行けなくて残念だった」と語るドミニク。今年も多忙を極めるはずだが、その合間を縫ってぜひスーパーGTのシーズン中に日本を訪れたいという。ドミニクファンならずとも、今年はスーパーGTのどこかのサーキットで偶然彼と遭遇できるかもしれない。この後すぐにアメリカへALMSのテストのために旅立つというドミニク。また後日、アメリカの様子などをお伝えしたい。

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