DTMドイツツーリングカー選手権でアウディのワークスドライバーを務めるオリバー・ジャービスが、8月末にニュルブルクリンクで行われたVLN耐久シリーズのテストで、オールドコース(ノルトシュライフェ)デビューを飾った。
07年に全日本F3に参戦した後、DTMドライバーとしてドイツへと活動の拠点を移したジャービスだが、彼の所属するフェニックスレーシングはニュルブルクリンク近郊にファクトリーを構え、DTM以外にもアウディR8 GT3 LMSでADAC GTマスターズ、FIA GT3、そしてニュルの耐久レースで活躍するチームだ。
「とにかくこのニュルのノルトシュライフェは、世界中どこを探しても似たコースは全くない。1周が信じられないくらいに長いし、コーナーの数もアップダウンも半端ではないので、コースを覚えるのが非常に難しい。そして、今まで出たレースでは出走台数が最高30台までのレースばかりだったので、その6倍以上の台数、それもいろんなメーカーや車種のレーシングカーが走るレースはもちろん初めてのことでそれにもかなり驚いたよ。しかもコースのいたる所で黄旗がしょっちゅう出ているので、集中の仕方も今まで出てきたレースとは全く違うので難しい」と語ったジャービスだが、事前に市販のR8でオールドコースの走行練習をしただけで、持ち前の勘の鋭さを発揮してニュルのベテラン勢を驚かせていた。
また、いつものDTM仕様アウディA4とはまったく別のレーシングカー、R8 GT3 LMSのダウンフォースやブレーキングの違いを過酷なコースのドライビングを通して大いに楽しんだ様子。初参戦となった耐久レースは総合3位でチェッカーを受けるも、黄旗追い越しのペナルティを受けたこともあり惜しくも最終的には表彰台を逃してしまった。
「1周1周がいい意味で緊張の連続だった。もっと何度も走ってコースに慣れて覚えなければならないけれど、このレースに素晴らしい車で出る機会を与えてもらったことは本当に嬉しいし、とてもエンジョイして走ることができたよ。もちろん今回を最初で最後にするつもりはないよ」と、次回の参戦を楽しみにしているようだ。
一部のドイツの報道では、来年のニュル24時間への参戦のための準備とされているが、アウディ側は可能性はあるがまだ確定はしていないと回答している。
ところでジャービスは、アウディでの待遇やDTM参戦には非常に満足しているが、ツーリングカーレースだけではなく、今後またフォーミュラへ復帰し、「チャンスがあればF1を目指してみたい」と抱負を語っている。そして、日本のレースへの参戦の可能性についても、フォーミュラ・ニッポンやスーパーGTへもぜひ参戦してみたいと目を輝かせていた。ジャービスは非常に親日家であり、昨年はたった4日間の休暇のために日本を訪れたとのこと。
「僕にとって日本はとても大好きな国だ。日本のファンは世界一クレイジーだけど(笑)、どこの国のファンよりも熱心に応援してくれたからね。ぜひ、DTMのレースへも僕を応援しに来てほしい。そしてパドックでは気軽に声を掛けてくれると嬉しいね!」
