2013年2月。横浜市鶴見区に、ニスモが新社屋をオープンさせた。そのオープンの際、日産自動車のカルロス・ゴーン社長は2014年に“ガレージ#56”の枠でル・マン24時間に復帰することを明らかにしたが、“ニッサンは2015年にLMP1に参戦する”という『シナリオ』を4月26日発売のオートスポーツNo.1355で展開している。
現在、ル・マン24時間を中心としたスポーツカーレースの世界では、WEC世界耐久選手権にアウディ、トヨタの2社がトップカテゴリーのLMP1クラスにハイブリッド搭載のワークスマシンを投入。2015年からは、ポルシェがワークス参戦することになっている。
ル・マン24時間は今年も6月にWEC第3戦として開催されるが、昨年のレースが開催されていた期間中、サーキットの中でひときわ存在感を放っていたメーカーがあった。表彰台を独占したアウディでも、初参戦のトヨタでもない。ゲートからパドックに至るまでの“ビレッジ”と呼ばれるエリアで、最も多く目にしたのは黒地に白の“NISSAN”、“nismo”という文字が入ったフラッグ、バナーだ。
2012年には、これまでのどの車両とも異なるニッサン-デルタウイングが“ガレージ#56”という特別枠で登場した。もちろんこの車両も多くの注目を集めたが、総合優勝を争う車両ではなかった。しかし、革新的な技術で燃費を大幅に減らし、それでいてLMP2と同等のスピードで走るニッサン-デルタウイングの姿は、マシンに入れられた“NISSAN”の文字とともに多くの印象を残した。ビレッジに掲げられたフラッグは、その認知度をさらに高めていた。
このプロモーションは、ヨーロッパの欧州日産が中心になって仕掛けたものだったが、「ニッサンは“次なる一手”を仕掛けてくるのではないか」と思わせるものだった。そして、冒頭でも触れたゴーン社長が発言した、2014年の“ガレージ#56”枠での復帰は、それを裏付けるものだろう。そして、この2014年のガレージ#56は、その後のLMP1参入の可能性に向けたデータ収集を見据えたものであることが公言されている。
ではその時期、そしてその参戦スタイルはどんなものになるのか。オートスポーツNo.1355では、『ニッサン・モータースポーツ近未来予測 ル・マンへのシナリオ』と題し、現在LMP2クラスで最多勢力となっているカスタマー用エンジン、VK45-LMP2の技術開発の今を解説。そして、スーパーGTの2014年規定用に開発されている“NRE”エンジン、さらに今季からLMP2クラスに参入しているアルピーヌ/ルノーとの共同戦線を、2014年からのレギュレーションを紐解きながら解説する。
誌面の中では、そのデビューは2015年であると推測する。その理由には、2014年のガレージ#56枠が大きく関係しており、ガレージ#56に参加したマニュファクチャラーは、向こう3年間のLMP1参戦を確約しなければならないからだと解説する。14年に登場するニッサンのガレージ#56マシン、そして15年のLMP1に、“NISSAN”の文字はあるのか。興味は尽きないところだ。
オートスポーツNo.1355について詳しくはこちらへ
http://as-web.jp/autosport/issue_info.php?no=558
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