日産自動車/ニスモは17日、横浜市のニスモ本社で2014年のル・マン24時間耐久レースに、環境技術を志向した特別枠“ガレージ#56”から参戦する『ニッサンZEOD RC』の実車を公開した。
このZEOD RCは、“ゼロ・エミッション・オンデマンド・レーシング・カー(Zero Emission On Demand Racing Car)”の頭文字から名付けられたニッサンの新しい“ガレージ#56”車両ZEOD RCは、ニッサンの電気自動車、リーフのリチウムイオンバッテリー技術を活用し、時速300km以上のスピードを実現。LM-GTEクラス車両を超える速さを実現するマシン。
6月のル・マン24時間ではモックアップカーのみの発表だったZEOD RCだが、すでに告知されているとおり、この車両は18日〜20日に富士スピードウェイで開催されるWEC世界耐久選手権第6戦でデモランを行うことが決まっているが、それに先立ち、横浜のニスモ本社で全世界向けにアンベイルが行われた。
会場にはニスモ宮谷正一社長、ニッサン・グローバル・モータースポーツダイレクターを務めるダレン・コックスやZEOD RCを手がけたベン・ボウルビー、富士でデモランのドライバーを務めるミハエル・クルムも姿をみせ、純白の幕を取り去ると、ホワイトとブルーに塗られたZEOD RCが姿をみせた。
6月に公開された形状とは大きく異なるディテールとなったZEOD RCはカラーリングも変更され、マシンサイドには大きな『ZEOD RC』の文字、市販のリーフ・ニスモ等同様、ゼロ・エミッションを示すブルーのラインが入れられた。ニッサンによれば、実車になるにあたり新型の冷却インテーク、エアロダイナミクスの変更など、大幅な改良を施されているという。
「このマシンが静かにミュルサンヌを時速300kmで疾走する光景は、非常にユニークなものになるだろう。バッテリー技術をこのマシンに取り入れることは壮大な挑戦となるが、これは将来のLMP1活動にとって非常に有益なものとなるだけでなく、将来のリーフやその他の量産電気自動車の開発にも役立つことができると考えている」と語ったボウルビー。
ただ、ニスモ宮谷社長によればこの車両はすでにイギリスでシェイクダウンが済まされているというが、WEC富士ではフルパワーでの走行ができないと明かしている。
「フルパワーで富士を走行させるだけの開発はちょっと間に合いませんでした。このプロジェクトはすべてが新しい領域への挑戦であり、最高の状態でお見せしたいとは思っていますが、まだそこには至っていません。それだけチャレンジングな課題に挑戦しているという証だとご理解いただければ」と宮谷社長。
とは言え、すでに非常に完成度の高い状態で公開されたZEOD RC。ダレン・コックスは「今回の活動で我々が掲げる目標は、ニッサンが開発している革新的な技術をファンのみなさんの前で披露することだ。『ZEOD RC』の実車が初めて姿を現す舞台は、WEC富士戦以外に考えられなかった。我々は日本のファンのみなさんにお見せするために、英国で行っていたテストを中断し、マシンを日本まで空輸したのだ」と語った。
この後ZEOD RCは横浜から富士に運ばれ、3日間ファンの前でデモランを行う予定だ。