家庭用ゲーム機、プレイステーションシリーズで楽しむことができる“リアル・ドライビング・シミュレーター”、『グランツーリスモ』。そのグランツーリスモとニッサンが組んで展開している『ニッサンGTアカデミー』に、元F1ドライバーをはじめ豪華な講師陣が揃っている。
このGTアカデミーは、グランツーリスモ5上で展開されるシミュレーションレース等で勝ち上がったドライバーたちが、厳しい審査、そしてフィジカルやメンタル、ドライビングテストを経て、現実のプロドライバーとしてデビューを果たす“育成アカデミー”。グランツーリスモ上で選ばれた“ゲーマー”たちが実際のレースで活躍するため、ヨーロッパでも話題となっている。
これまでのGTアカデミー出身者で、最も実績を出しているのは、2008年にエントリーしたルーカス・オルドネスだ。当時24歳の学生だったオルドネスは、幼少時代よりカートレースに参加していたが、16歳の時に経済的理由から諦めざるを得ない状況に陥った。しかし、レーシングドライバーになる夢をどうしても諦められず応募し、2万5000人の枠を勝ち抜いたオルドネスは、ドバイ24時間参戦などを経て、昨年はシグナテック・ニッサンを駆りル・マン24時間でクラス表彰台を獲得してみせた。
そんなGTアカデミーには多くのプロドライバーが講師として参加し、ゲーマー出身者を鍛え上げているが、すでに参加している元F1ドライバーのジョニー・ハーバート、ビタントニオ・リウッツィらに加え、今度はニック・ハイドフェルドも加わることになった。
「バーチャルレースから始まるけど、実際はどれだけ現実が厳しいかを体感できるし、この企画は自分の努力が実れば実際にプロのレーシングドライバーになれる。僕自身も審査する側として楽しんで参加しているよ。芽が出そうなドライバーもいるので、僕らも慎重になるね」と語るハイドフェルドは、F1ベルギーGPでテレビのコメンテーターを務めていた際にも、番組中でGTアカデミーの紹介を行っていた。
アカデミー出身者は、グランツーリスモとともにアカデミーを推進する欧州日産のレース活動に実際に参加、WEC世界耐久選手権のLMP2クラスに出場したり、イギリスGTやブランパン耐久シリーズでニッサンGT-RニスモGT3をドライブするなど、世界中のレースで活躍を始めている。“ゲーム出身”ドライバーの今後の活躍に注目していきたいところだ。