インターコンチネンタル・ルマン・カップ第3戦(最終戦)
〜プジョー、珠海(ジュハイ)で勝利 ILMCタイトルを獲得!〜

中国南東部の都市、珠海(ジュハイ)で開催された今回のレース。チーム・プジョー・トタルは強さを見せつけながらも手に汗握るレースを展開、最後はすばらしい勝利をおさめ、プジョー908HDi FAP最後の戦いを最高の形で締めくくりました。グリッド最前列を独占してのスタートのあと、2台のプジョーはレース前半を支配。ところが徐々にさまざまな問題が彼らを苦しめました。しかし、重圧をはねのけ、強気の戦略も功を奏して、2号車のステファン・サラザン/フランク・モンタニー組が優勝、プジョーにとってシーズン5度目の勝利となりました。また、今年から始まったILMC(インターコンチネンタル・ルマン・カップ)でのマニュファクチャラーズ・タイトルも獲得しました。

約2カ月の間にプジョーはシルバーストーンとロード・アトランタにて2度のワンツー・フィニッシュを決め、最終戦の珠海で勝利し、その結果、新設のILMCでマニュファクチャラーズ・タイトル、チーム・タイトル両方を獲得しました。優勝したのはプジョー908HDi FAP(2号車)を駆ったステファン・サラザン/フランク・モンタニー組、2位のアウディ(クリステンセン/マクニッシュ組)とは4.826秒差でした。もう一台の908、セバスチャン・ブルデー/シモン・パジュノー組は4位でフィニッシュ、少々異なった戦略を採り、他車との接触でペナルティーを受けながらの素晴らしい完走でした。

白熱した最終盤
ライバルたちはプジョーにプレッシャーをかけるべく、最初から積極的に仕掛けてきました。カペロ(アウディ)がしばし2台のプジョーの間に割って入りますが、各車の最初の燃料補給のあと、プジョーが勢いを盛り返しました。

しかし、時間の経過とともにアウディが迫り、マクニッシュが150ラップ目からトップに出ました。これをきっかけにピットイン戦略の関係でめまぐるしくトップが入れ替わりながら、プジョーとアウディが手に汗
握る白熱の戦いを繰り広げる終盤へと入っていきましたが、マシンにはいくつかの問題が発生していました。

「最初から、僕たちは同じタイヤで2交代ずつという方針だったけど、アウディは毎回替えていた。」とシモン・パジュノーはレース中に語りました。「ところが、2度目の交代になるとリアタイヤのグリップが無くなってきた。結局、毎回タイヤを替える方針に変更したけど、もともとの戦略がどれだけ良かったか示すことができるよういい成績を狙う。これからゴールへ向かってエキサイティングな戦いになるよ…」。

パジュノーの言葉通り、終盤はトップ争いをする者たちにとって極めてタフな精神が要求されるめまぐるしい戦いとなりました。全力投球でマシンを走らせてきたフランク・モンタニーが、162ラップ目でふくらんでグラベルに突っ込みタイムロス。その少しあとには、ブルデーが1秒ピットインペナルティーの原因となった接触で損傷したパーツ交換のため、予定外のピットインを余儀なくされました。

これで、アウディのクリステンセンが最後のピットインをした際にトップを奪還したサラザンの最後の燃料補給にどのくらい時間がかかるかが勝負となりました。チームは219ラップ目で”スプラッシュ&ゴー”ピットインを指示、うまくアウディの前に首位で戻ることに成功したのです。それからはタイム差を保つことを念頭に走り、908HDi FAPは19度目の勝利を手にして、チームのすばらしい活躍に感謝しつつ、勇退することとなりました。

232ラップ、5時間36分を走り終えたチーム・プジョー・トタルの面々は、ラスト2時間の信じられないほどの緊張から解放され、勝利の喜びを手にしました。1位はサラザン(プジョー2号車)、2位(アウディ)とは4.826秒差でした。この結果、今年新設されたILMCでチーム・プジョー・トタルは、マニュファクチャラーズとチームのダブルタイトルを手にすることとなりました。

ステファン・サラザンは「非常に厳しいレースだった。最後の20ラップほどが特に難しかったね。とにかくゴールを目指して集中し、ミスをしないことを心がけた。もちろん全力で走りました。チームはすばらしい仕事をしたし、珠海でポール・ポジションを獲り、優勝できて908の最後のレースを最高の成績で締めくくることができたことを誇りに思う。」とコメントしています。

ブルーノ・ファミン(プジョー・スポール、テクニカル・ディレクター)
「908のキャリアは、優勝で始まり優勝で終わった。確かに今日の勝利はぎりぎりだったが、それは今外のものだった。万全のスタートだったが、途中でテクニカル面、走りの面でひとつふたつ問題が出た。テクニカル面では2号車のブレーキが非常に早くすり減ってしまうのが最大の問題だった。結局、サラザンにドライビング・スタイルを変更してもらって、彼には最後の最後までこの問題と付き合うことにさせてしまった…。」

オリビエ・ケネル(プジョー・スポール、ディレクター)
「新設のILMCでタイトルを獲ることができ、もちろんうれしい。その上、今日の勝利は特に満足のいくものだ。とにかくすばらしいレースだったし、その結果、908が盤石の実績のまま勇退となる。これは稀有なことだ。908はレースカーのレジェンドとなるだろう。また、この勝利を中国であげたことを特に誇りに思う。中国はプジョーが大いに注目している市場だからね。」

フランク・モンタニー
「すばらしいフィニッシュだったね! 僕のマシンもドライバーもファンタスティックだよ! 僕が最初に交代した時は、マシンは本当に絶好調だった。でも、それからパフォーマンスがだんだん悪くなってきて、特にブレーキをかけたときのバランスに問題が出てきたね。」

【最終結果】
1位 プジョー908 HDi FAP 02号車 (サラザン/モンタニー) 232周 5時間35分39.053秒
2位 アウディ (クリステンセン/マクニッシュ) +04.826秒
3位 アウディ(カペロ/デュマズ) +49.302秒
4位 プジョー908 HDi FAP (ブルデー/パジューノ) + 3周
5位 パスカローロ(ニコレット/ダ・ロシャ/ラファーグ) +26周
レース中の最速タイム:F.モンタニー(プジョー908HDi FAP) (1分22.296秒)

プジョー908HDi FAP、レジェンドとなる

4年にわたる輝かしい戦歴の末、908は最後の戦いとなった珠海1000キロ耐久レースを見事な勝利で締めくくりました。28戦19勝という記録を残し、908はプジョーが誇る数々の名車の歴史に名を連ねることとなりました。イタリア モンツァでのデビュー(2007年4月15日)から珠海での最後のレース(2010年11月7日)まで、908はルマン24時間、セブリング12時間、プチ・ルマン(ロード・アトランタ)、シルバーストーン1000km、スパ-フランコルシャン、インテルラゴスなど、伝統ある耐久レースすべてで勝利するという偉業を成し遂げました。

ブルーノ・ファミン(テクニカル・ディレクター)
「908はごく短期間で製作されたマシンだ。もともと2008年6月のルマンでデビューの予定だったが、上層部の決定で日程が前倒しとなり、2007年6月を目指すこととなった。その結果、デザインすべての日程を短期間に圧縮せざるを得なくなった。マシンについてだけでなく、チーム編成についても全くの白紙から始めたので、非常に困難な作業だった。マシンの基本スペック(エンジンと車の構造)が固まったのが2005年の秋。1気筒エンジンから始めて、各ステップを最適化するための風洞実験用に木製のフルスケールモデルも作った。2006年9月30日の午前2時、プジョースポール ベリジー工場のエンジンベンチで初めてV12 HDi FAPのエンジンに火を入れた。908開発の初期段階で一番心に残っているのが、あのときだね。2006年12月11日にマシンの組み立てを始め、12月22日には初めてウマに載せられたマシンのエンジンをかけた。最初のコーステストは12月31日。とてつもないチャレンジだったが、チーム全員で成功を得ることができた。」

【プジョー908 HDi FAPのシーズンリザルト】
参戦回数:28回
ポールポジション:24回
優勝回数:19回
ワンツー・フィニッシュ:9回
最速タイム記録:25回

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