WEC世界耐久選手権のLMP1クラスで今季のチャンピオンに輝いたアウディのアラン・マクニッシュが、今季限りでレーシングドライバーとしての第一線から退き、来季のWECに参戦しない意向を明らかにした。
マクニッシュは今季、トム・クリステンセン/ロイック・デュバルとともに2号車アウディR18 e-トロン・クワトロをドライブ。ル・マン24時間での総合優勝を含むシーズン3勝を挙げ、キャリア初となる世界選手権制覇を達成していた。
「アウディにおけるプロトタイプカーでのレース活動に終止符を打つ理想的なタイミングだったんだ」とマクニッシュ。
「チームメイト(クリステンセン/デュバル)とともに、僕はスポーツカーレースの中で最も成功したシーズンを送った。ル・マン24時間でも勝つことができた。僕たちが今年達成した以上のことを望むことはできないよ。やり残しのない、素晴らしいキャリアだった」
「家族とより多くの時間を過ごしたいと思っている。ただ、僕はもうアウディのドライバーではないけれど、引き続き様々な役割でモータースポーツに携わることになるはずだ」
マクニッシュは、アウディ・スポーツとの密接な関係のもと、今後もその経験を生かすことになるという。
アウディ・モータースポーツ代表のウォルフガング・ウルリッヒは、マクニッシュの引退を惜しみつつ、これからも関係が続くことへの喜びを語っている。
「キャリアの絶頂での引退というアランの決断を理解しているし、尊重するよ」とウルリッヒ。
「これ以上アランとともにレースをすることができないのは残念だが、アウディ・スポーツとアウディブランドに彼が引き続き関与してくれることを嬉しく思っている」
マクニッシュは、2000年以来アウディとともに多数の栄冠を手にしてきた。アメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)では3度の王座を獲得しているほか、セブリング12時間とプチ・ル・マンでは4勝。ル・マン24時間でも、アウディでの2勝を含むキャリア3勝を挙げている。また、02年にはトヨタからF1にフル参戦。ベネトンやマクラーレン、ルノーなどでF1テストドライバーを務めた経験も持っている。
またマクニッシュは、今季のアウディR18 e-トロン・クワトロに至るまでのR8RからR8、R10 TDI、R15 TDI、R18 TDIとR18ウルトラの全てでレースを戦った、ただひとりのドライバーとなっている。