蒸し暑い日本の夏のような1日となった6月14日(日)。第77回ル・マン24時間レースは午後3時にゴールの時を迎えた。
今年のレースを制したのは、宿敵・アウディをついに打ち破ったプジョー9号車。アレックス・ブルツは1996年以来13年ぶり2回目、デビッド・ブラバムとマルク・ジェネは初の総合優勝を果たした。これに続いたのは8号車のフランス人トリオ。さらにアウディ1号車が3位に入る。
しかし、これまで8回ル・マンを制しているトム・クリステンセンをはじめ、アラン・マクニッシュ、リナルド・カペッロにとっては、非常に辛いル・マンとなったに違いない。とにかく信頼性を武器に戦ってきたアウディに度重なるトラブルが出ただけに、それはなおさらだろう。
午前11時半にアウディ1号車がギヤボックストラブルのためにピットインした時、すでにレースの行方は決まっていた。その後、プジョー9号車、8号車は無理することなく周回を重ね、ゴールが近づくと隊列を組んでのランデブー走行。最後は久々のパレードランとなった。
ル・マンらしいゴールに向けて、残り2時間を切ってからは各チームが最後の頑張りを見せるが、そんな中、日本勢には次々に不運が襲いかかった。
ちょうどゴールまで1時間となった頃、まずユノディエール・ストレートの第1シケインで、LMP2クラス2位を走行中だったNAVI TEAM GOHのポルシェRSスパイダーがスピンし、タイヤバリアに激突。荒聖治がステアリングを握っていたマシンは大破し、リタイアを余儀なくされた。
またちょうど同じ頃、野田英樹がドライブしていたローラ・マツダ39号車のエンジンにオイル漏れが発生。ピットに戻ろうとしたものの、ピットロードに入ったところで力尽き、ストップしてしまった。しかも、オイルに引火して、マシンが火災を起こしてしまう。こうしたアクシデントにより、コース上には6回目のセーフティーカーが入っている。
このセーフティーカーランが終わり、レースがリスタートしたのはゴールまで約30分となった時点。ここからは、各チームともにマシンをゴールまで運ぶ走りとなった。
そして大歓声の中、プジョー908がデビュー3年目にして、ついに優勝。1-2フィニッシュでゴールを飾った。今年3位に終わったアウディは、表彰台で悔しさを滲ませるというよりは、プジョークルーに心から拍手を送り、彼らの活躍をさかんに讃えていた。