WEC世界耐久選手権第2戦スパ・フランコルシャンのフリー走行1回目でクラッシュを喫して負傷した中嶋一貴について、チームの首脳は彼がル・マン24時間に参戦できる可能性は小さいだろうと語っていると英AUTOSPORT.comが伝えている。
1号車トヨタTS040ハイブリッドのドライバーとしてWECにフル参戦している一貴は、シリーズ第2戦スパの初日となる4月30日、ウェットコンディションとなったフリー走行1回目に、8号車アウディR18 e-トロン・クワトロに追突する形でクラッシュ。その後、背中の痛みを訴えたことから検査のために現地の病院へ搬送され、検査の結果、脊椎の一部に損傷が見つかった。ただし、FIAメディカル・デリゲートは一貴について「神経系統の検査は正常であった」との声明を発表している。
そんな一貴は、今週末のスパ戦を欠場することが発表されているが、5月末に行われるル・マンテストデー、そして6月のル・マン24時間に一貴が参戦することができるのかも焦点となっている。
これについて、TMGのチームディレクターを務めるロブ・ルーペンは、ル・マン24時間までに一貴が回復するのは「ちょっとした奇跡」が必要だろうと語っている。
「通常、この種のケガが回復するのには2〜3ヶ月はかかる。そして、ル・マンはのテストデーは5週間後だ」とルーペン。
「現実的には、彼はル・マンまでには回復しそうにないだろう」
英AUTOSPORT.comによると、一貴は第4腰椎を損傷。現在も現地の病院でリハビリを続けているが、手術の必要は無いという。
トヨタのテクニカルディレクターを務めるパスカル・バセロンは、ル・マンでのオプションはオープンなままなのだと説明している。ただ、トヨタが5月末のル・マンテストを前にスパで行う予定のプライベートテストには、チームのリザーブドライバーを務める小林可夢偉も参加する予定だという。
なお一貴が欠場となった1号車は今週末、アンソニー・デイビッドソン/セバスチャン・ブエミのふたりで予選や決勝に臨むことになる。クラッシュした1号車のマシンについても、TMG本部から運び込まれた新たなモノコックでリビルド。予選前のフリー走行3回目にも参加し、1分59秒850で7番手につけている。