FIA GT1世界選手権の第4戦ポール・リカールで、スイス・レーシングの2台はいずれも不運に見舞われ上位進出はならなかったが、パフォーマンスの向上を確認。荒聖治のドライビングが素晴らしかっただけに、チームは結果に繋がらなかったことに無念さを隠さない様子だ。
連日30℃を超える猛暑の中、ル・カステレー-ポール・リカール_ハイテック・テストトラックで行われたFIA GT1世界選手権の第4戦。2台のニッサンGT-Rを走らせるスイス・レーシングは土曜日の午前中に開催された予選では、荒聖治/マックス・ニルソン組の4号車がQ2へ進出し、惜しくもQ3まで残る事は出来なかったが、予選レースのスタートポジション16位を獲得した。3号車のカール・ベンドリンガー/ヘンリー・モサー組は、Q3も視野に入れて挑むがQ1で敗退。そして、11列目21番グリッドからの予選レーススタートとなった。
3号車のスタートドライバーを担ったモサーは順調なハイペースを保ち、ヴェンドリンガーへは14位でステアリングを引き渡すも、ドライバー交代の2ラップ後には、他車との接触により右前輪が破損。再びピットインを余儀なくされてしまった上、その直後にオフィシャルからの指示が入り、10秒のストップ・アンドゴーペナルティを科されてしまった。
スイス・レーシングは、このペナルティについては「全く理解に苦しんだ」と納得のいかない様子だったが、結局このペナルティにより、ポジションを21位で予選レースを終了することになった。4号車の荒/ニルソン組は、予選レースを12位でチェッカーを受けた。
日曜日に開催された決勝レースでは、4号車のスタートドライバーを務めた荒がスタート直後に他車との接触でリアを破損してしまうが、走行に支障をきたすものではなく、荒は素晴らしいパフォーマンスを発揮し、ラップタイムを順調に上げて行った。しかし、ポジションを8番手まで上げたところで、4号車コルベットがスピンして接触。ギヤを破損し、10周目を迎える前にリタイアを喫することとなってしまった。
「荒がコルベットに追突されたことによって上位に入賞する可能性が失われたことは、ただ残念としか言いようがない。このクラッシュによってリタイアし、競り合う資格さえ出来なくなってしまったのだから。しかし、私達はとても良いラップタイムを出せた上、大きな進歩を見せた。残念な結果ではあったが、この週末を総合的に考えると満足出来たと思う。ニスモとの協力はとても素晴らしかったし、このまま一緒の目標に向かって更に頑張りたいと思う」とスイス・レーシングのオットマー・ヴェルティ監督。
スイス・レーシングのエリッヒ・コルプチームマネージャーは、「せっかくポジションを順調に上げているところに、クラッシュによってそれらが全てストップしてしまったことで、とてもがっかりしている。荒はその時に8番手までポジションを上げており、ピーター・ダンブレックの運転する23号車の後ろにつけて追い上げているところに、コルベットとのクラッシュが起こってしまった」とコメント。
「車両バランスのセットアップは随分と把握できたし、ドライバー達にも満足して貰えていると思う。ヘンリー(モサー)は新品のタイヤを装着した時には、コンスタントに良いラップタイムを出していた。今後、予選では今までよりも更に上のポジションを狙わなくてはいけない」と次戦スパに向けてパフォーマンス向上を誓った。
