WEC世界耐久選手権に参戦しているアウディが、今季シーズン投入する新たなアウディR18 e-トロン・クワトロの開発に関するここまでの工程を明らかにしている。
昨年、一昨年と、WEC、そしてル・マン24時間を制しているアウディ。LMP1クラスで新たな車両規定が導入される今季に向けては、新たに開発したR18 e-トロン・クワトロを投入する。アウディは、この新型車両に関してすでにマシンのお披露目も行っているほか、パワーユニットにはF1同様に熱エネルギー回生システムも投入することなど技術的な詳細も一部公開している。
アウディによると、この14年仕様の新たなR18 e-トロン・クワトロのコンセプトが固まったのは、一昨年となる2012年のル・マン終了直後の7月のことなのだという。その後、同年10月には風洞での初テストを実施。12月には4200以上にのぼるパーツ全てのデザインを再設計する作業に入った。
アウディが今季のマシンに投入するとしているレーザーライトに関しては、13年初頭にLMP1カーへの導入が決定。同年3月には最初のコンポーネントが完成し、テストリグとサーキットで初期テストを実施したという。
また、この年のル・マン公式テストでは、マルコ・ボナノミが4台目のR18 e-トロン・クワトロをドライブし、ミシュランタイヤと共同で、今季投入される14インチのタイヤのテストを実施。アウディは「重要なデータを集めた」としている。同じく6月には、ネッカーズルムのダイナモで、新型R18 e-トロン・クワトロに投入される新たなV6 TDIエンジンが初テストを実施している。
実車の製作と平行して、新型車両のシミュレーターの開発も進んでいたが、そのシミュレーターでのテストが7月から開始に。その後、9月にはシャシーナンバー401が与えられた車両の組み立てが行われ、10月8~9日にポール・リカールでロールアウトが実施された。ドライビングを担当したのは、ルーカス・ディ・グラッシとオリバー・ジャービスだという。
そして、12月8日には新型R18 e-トロン・クワトロの画像1枚を公開するとともに、熱エネルギー回生システムの搭載など技術的な詳細も一部公開。翌日からセブリングでテストを行い、問題点の洗い出しなどを行った。10日後の12月18日には、マシンの初お披露目を実施し、レーザーライトの搭載なども明らかにしている。
そんなアウディは、1月から5月にかけて、複数のサーキットでのテストを予定しているという。マシンの耐久性に関しては、30時間テストで確認する。また、アウディによると、マシンのホモロゲーションは2月末までに取得する必要があるということだ。
なお、アウディ、そして今季からLMP1クラスに参戦するポルシェと総合優勝を争うことになるトヨタ陣営は、1月22日から3日間の日程で新型車両の初テストを行ったと報道されており、3月末のポール・リカール公式テストに向けて更なるテストを予定していると言われている。