金曜夜20:00から始まったGP2開幕戦の予選。今季デビューの日本人ふたりは対称的な結果となった。練習走行では11位に付け、ある程度の手応えを感じていた伊沢拓也はまさかの23位、一方、練習走行では足回りのトラブルで26位の最下位だった佐藤公哉は予選16位という結果になった。
「とにかく、今は悔しい気持しかないです」
マクラーレン・ホンダの若手育成プログラムという期待を背負う伊沢は予選後、素直に気持ちを打ち明けた。
「練習走行では行ける感触があったのですが、予選のソフトタイヤの使い方がまだまだ。自分自身、納得した走りが全然できていない」
コンパウンドだけでなく構造も軟らかいピレリタイヤは、これまで伊沢が経験したタイヤとはまったく特性が違う。
「今までは常に全開で攻めることができたけど、(ピレリタイヤは)すぐにロックするので、限界を越えないように探りながら走らなければならない」
予選最後のアタックでは前のクルマに引っかかったこともあるが、トップから約1.6秒差の23位。セクタータイムを見ると回り込むコーナーが多いセクター2でトップと約1.2秒のギャップがある。構造の軟らかいタイヤでのブレーキングに苦しんでいるようで、その感覚的な違いに慣れることが今の伊沢にもっとも必要な課題のようだ。
同じルーキーでチームメイトのストフル・ヴァンドールンは予選2位を獲得しているだけに、伊沢が悔しがるのは理解できる。それでも、日本のレースで培ったタイヤのマネジメントには手応えを感じており、「レースではタイヤをもたせることは大丈夫」と自信を持つ。
「何とか明日の決勝、頑張ります」と言う伊沢が、この逆境の状況でどのような走りを見せるのか、それはそれで伊沢の真価が試されるレースになる。
同じく今年、GP2に参戦する佐藤公哉も16位の結果には納得するものの、「もうちょっと行けた」と悔しさも見せる。
「F1のフリー走行が2回あって、路面のラバーが乗ってコンディションが全然違った。練習走行の時より3秒以上変わっていて、もう別世界。ブレーキングにしても、コーナーのボトムスピードにしても、もっと攻めることができたと思う。チームメイト(アーサー・ピック)の順位(10位)を見ても、そこまでは行けた」と予選を振り返る。
練習走行ではダンパートラブルを抱えながら走らざるを得ず、実質、ほとんど参考にならないセッションだっただけに、その状況での16位には意義がある。「明日はまず、きちんと完走したいです。勝利とか表彰台とか簡単に言えるほど甘いカテゴリーじゃない。きちんと完走してポイントを積み重ねることが目標です」
さまざまな課題と思いが見えた、ふたりのGP2初めての予選。決勝ではどのような出来事が彼らを待っているのか。まずは土曜昼にレース1がスタートする。