WEC世界耐久選手権やヨーロピアン・ル・マン(ELMS)を運営しているフランス西部自動車クラブ(ACO)は、LMP2クラスの新たな潮流となっているクローズドマシンついて、現行のオープントップ型との性能調整は現在のところ考えていないのだと明かした。
ここ数年は主にオープントップのマシンで争われてきたLMP2クラスだが、2014年〜15年シーズンに向けて、様々なコンストラクターがクーペタイプの車両を発表。昨年の半ばからは、他社に先駆けてオンローク・オートモーティブ製のリジェJS P2が実戦投入され、WECやELMSで活躍していた。そして今季は、オレカ05やHPD ARX-04b、ストラッカ童夢S103、BR01という4つのクーペの実戦デビューが予定されている。
とはいえACOとしては、現在のところ両者間の性能調整の必要性は感じていないのだという。スポーティングマネージャーのビンセント・ボメニルは次のように説明する。
「現在のところ、コンペティションはかなり平等だと考えている。昨年のル・マン24時間を見てみても、レースを通して最速のマシンは実はオープントップのクルマだったんだ」とボメニル。昨年のWECやELMSでタイトルを獲得したのも、オープントップのマシンだった。とはいえ、判断は状況次第なのだとボメニルは語る。
「他のマシンより極端に速いマシンが現れた時だけ、遅くするような行動をとるよ」
現行のオープントップが最良の選択だと考えているチームもある。13年〜14年と2年連続でELMSのLMP2クラスで王座を獲得し、今季からはWECに参戦するシグナテック・アルピーヌは、引き続きオープントップのアルピーヌA450b(オレカ03R)にニッサンエンジンというパッケージを採用している。
「このマシンには競争力があると考えている。ベストな選択だと思っているよ」と説明するのはチームボスのフィリップ・シノー。
「このクルマのことはとてもよく分かっているし、それはシーズン序盤においてのアドバンテージにもなるだろう」
プライベーターのみが参戦することができ、コストキャップ制のもとで例年多くのチームが参戦しているLMP2クラスでは、マシンの“性能が突出している場合”に性能調整を課すことが可能。エンジンパワーを最大5%、重量を最大30kg、燃料タンク容量を最大10リットルまで、それぞれの値を減少/低下させることができる。