5月9日、スパ-フランコルシャンで決勝が行われるル・マン・シリーズ第2戦。ル・マン24時間の前哨戦としてアウディ、プジョーの両ワークスが本格的に参戦するが、そんな中、オレカのプジョー908 HDI FAPをドライブするロイック・デュバルに、LMS第2戦への意気込みを聞いた。

 昨年もル・マンやAsLMS岡山でオレカ01をドライブ、すっかりチームのドライバーとしてお馴染みとなったフォーミュラ・ニッポン王者のデュバル。そんなデュバルは今季、最新鋭のディーゼルプロトであるプジョー908 HDI FAPをドライブする。母国フランスでのレースで、フランス製の最強マシンをドライブするデュバルに、前哨戦であるスパへの意気込みを聞いた。

●最新のプジョー908に期待度大
「これまで何回かテストしたけど、プジョー908はすごくいいよ。最初のテストの時は寒過ぎてタイヤに対してベストなコンディションじゃなかったけど、LMSの開幕戦のポール・リカールのあと、3日間居残ってテストした時の感触はすごく良かった。パワフルだし、ダウンフォースもあるしね。ただ、スローコーナーでのメカニカルグリップはオレカのクルマの方がいいんじゃないかな。それがプジョーのエンジンの重量のせいなのかどうか、その辺は分からないけど」

「でも、電子制御もすごくいいし、シートポジションもいいし、テストしてみてすごくハッピーだった。その3日間のテストでは耐久テストもしたけど、その一方でセットアップも進めるという感じだった。僕らはまだまだ学ぶことが多いからね。ただ、去年はペスカローロがプライベートのプジョーを走らせたけど、それに比べたら僕らの場合はテストの日数も多いし、色々な準備が整っていると思うよ。それに、プライベートカーとは言っても、今年は4台のプジョーがほぼ同じ仕様になる。だから、ワークスとほぼ同じ戦闘力を持っていると思うんだ。まだ僕は今年用のエアロパッケージはテストしていないけどね」

「ポール・リカールのテストでは、ワークスカーと比べてロングランのタイムは変わらなかったし、安定性という意味では、僕らは良かったと思う。ただ、ワークスが凄いのは一発のタイムがあること。その点だけは彼らの方が少し優れていた。それに、ポール・リカールでは僕らはワークスカーとは少し仕様が違っていたし、違うことをテストしていたんだ。だから単純比較はできないんだけど、ル・マンでは予選は重要じゃないからね。もちろん、僕らも予選で頑張るけど、僕らが集中しているのはレースで強いクルマを作るということ。その点、僕は今の所、クルマのバランスにも、タイヤのマネージメントについても満足している」

●乗降は大変! スパは練習に充てる
「テストでは、ドライバー交代の練習もしたよ。プジョーではそれが一番難しい作業なんじゃないかと思うんだ。コクピットがすごくタイトだし、ドアも小さいからね。もちろんメカニックの作業の間に交代すればいいんだから、時間はあるんだよ。でも、クルマから下りるのがオープンのクルマに比べると格段に難しいんだよね。だから、最初はすごく遅かったし、やるたびに10秒ずつぐらいタイムを縮めていくっていう感じだった。まぁ、何回か練習したら慣れてきたし、交代のタイムも安定してきたから良かったけど」

「僕らから見れば、スパはただの練習という感じだね。過去にスパでは色々なことが起こったのを見てきているけど、とにかく今回はリスクを背負わずに行きたい。とにかく僕らのチームが3人揃ってレースをするのは初めてだし、とても大切な練習っていう感じなんだ。それは、ワークスのプジョーやアウディにとっても同じだと思う。でも、彼らは常に勝つことを義務付けられているし、両方が顔を揃えたら、戦わなければならない。もちろんスパではどういう結果になるか分からないけど……」

「僕が見るところ、アウディはすごく動きが速い。コーナリングでのマシンの動きがすごくいいんだ。でも、ル・マンにはあまりコーナーがないからね。だから、アウディは1年間を通して、色々なサーキットを走る分には、プジョーより速いんじゃないかと思う。スパではどっちが速いのか分からないけど。どちらの陣営も100%のリスクを背負ってプッシュするとは思わないけど、間違いなくプッシュするよ。これがル・マン前の最後のレースになるし、ここで力を出すことで、クルマがどういう状態になるか100%確認することができる。確かめられることが色々あるはずなんだ」

●ユノディエールを走ったら特別な気分になるだろうね
「僕自身が最後にスパでレースしたのは、2005年。ユーロF3に出ていた時だね。その後、少しコースが変わった部分がある。だけど、その他は同じだし、新しくなった部分もF1で見ているから知っているよ。ブレーキングポイントなんかも見ているし。スパはドライバーにとって楽しめるコースだし、好きなコースのひとつ。しばらく走っていなくて、ちょっと恋しく感じていたぐらいだよ。でも、今回のレースは、ただ“1つのレース"っていう感じで、僕にとっては特別な感じじゃない。ル・マンをプジョーで走ったら、その時は特別な気分になると思うけど」

「スパに関しては、ル・マンの準備をするために、ベストを尽くすっていうだけ。でも、ル・マンでプジョーに乗って、ユノディエールのストレートに入って行ったら、ものすごく特別な気分になるだろうね。1周したら、そんな気持ちもすぐどこかに行っちゃうだろうけど(笑)。スパでは、まずレースを完走することが第一の目標。それから、個人的な目標としては、周回遅れのクルマと問題を起こさないこと。LMP1カーっていうのは、とても車体が長いから、時々周回遅れのクルマを抜く時にぶつかってしまうんだ。抜き切ったと思っていても、タッチしてしまうことがあるんだよね。そういう事態が、去年はデイビッド・ブラバムにも起こった。彼は、そのせいでクラッシュしてしまったんだ。一昨年は、アレックス・ブルツにも起こっているよね。彼らは経験豊富で、戦闘力の高いドライバーなのに、それでもそういうことが起こるんだ。だから、僕はそういうことに巻き込まれないように気をつけようと思っている。そして、クルマにトラブルがなく走り切れば、いい結果が得られるんじゃないかって思うんだよね」

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