南フランス、マルセイユ郊外のル・カステレ村にあるポールリカール・サーキット。02年、ヘルマン・ティルケの再設計により「テスト専用トラック」として生まれ変わったこのサーキットは、近年ではELMSやF3などのレースが再開されたとはいえ、まだまだ日本人には馴染みのないサーキットではないだろうか。そこで、WECの公式テストの“ウラ側”を交えながら、ポールリカールサーキットを紹介してみたい。

※写真はクリックで拡大します

 まずはピット棟の建物を紹介しよう。テスト専用トラックということもあり、各チームのピットスペースの幅はかなり広め。特徴的なのは、各ピット奥に設けられた階段から、それぞれの2階のスイートに直接上がれる構造となっていることだ。

2階のスイートは各チームスタッフやドライバーの控室となっていたり、メディア対応用のスペースとなっていたりするのだが、セッション中にメカニックもここへ上がってきて、冷蔵庫から冷たい飲み物を取り出して飲んだりもしている。また、今回はレース本番ではなくテストなうえ、走行時間が充分にあることなどから、例えばドライバーや首脳陣へのインタビュー取材なども、セッション進行中にこのスペースで行なっていた。

 スイートの前、ピットロードを見下ろす位置に広々としたテラスが設けられているのも特徴のひとつ。テスト2日目午前中は、トラブルによりセッション前半に走行ができなかったアンソニー・デイビッドソンが、2号車のマイク・コンウェイとともに所在無さげに佇む姿も。白いベンチに燦々と太陽が降り注ぐ光景はいかにも「南仏」なのだが、目の前ではシリアスなテストが繰り広げられている……というミスマッチ。

 そのスイートが並ぶ2階のパドック側には廊下があるわけだが、ここには歴代の有名ドライバーのポートレートが飾られており、モータースポーツの「歴史」を感じることができる。長い廊下に額縁に入れられた写真が並ぶ様は、まるで美術館のようだ。

 ピット棟中央には、パドック側に3階まで吹き抜けのエントランスホールがあり、ここには2台のドライビング・シミュレーターが設けられており、1回10ユーロで体験することができる。コースはもちろん、ポールリカールだ。

 パドックに出てみよう。各チームのトランスポーターが並んでいるのは、日本国内のサーキットと変わらない。強風に見舞われた初日、多くのチームがノボリやフラッグを撤去していたが、トヨタのトランポ上に立てられた日の丸だけはしっかりとはためいていた(写真は2日目)。

 今回はテストということもあり、チーム独自のホスピタリティを設営しているのはサード-モランドやAFコルセなどごく一部のチームのみ。目立っていたのはダンロップとミシュランのタイヤサービスの大きさと、トラック内に積まれたタイヤの多さだった。2日間合計で17時間のセッションが設けられていることもあり、タイヤを組んでバラして……という作業は大変なようだ。

 長時間の走行ということで、タイヤと同じく物量が必要なのが燃料。パドックのガソリンスタンドには2台のタンクローリーがスタンバイ、各チームにガソリン/ディーゼル燃料を供給していた。

 2日目は一般公開されるため、朝から熱心な観客が集まったポールリカール。基本はテスト専用トラックということで、グランドスタンドも屋根の無いわずか6段の観客席が用意されているだけだが、トヨタのフラッグを振る子どもの姿も見られた。ちなみにスタンドの裏はカステレ飛行場。時折、小型機が離発着していく様は、ル・マンのサルトサーキットにも似た雰囲気を醸し出している。

 最後の1枚は、1日目の日没。ポールリカールは南に下れば地中海、他3方は山という立地で、夕陽は西の山に沈む。初日は18時から19時がセッション間のインターバルとなったが、実はこの1時間が「マジックアワー」で、本来であればこの時間帯にマシンが走ってくれれば、とても美しい写真が撮れるところだったのだが……。

本日のレースクイーン

奥田千尋おくだちひろ
2025年 / スーパーGT
WAKO'S GIRLS
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by auto sport : Hands in the Fight|0.25mmの戦い

    FORMATION LAP Produced by auto sport : Hands in the Fight|0.25mmの戦い

  • auto sport

    auto sport 2025年7月号 No.1609

    【特集】LE MANS 2025
    “史上最混戦”の俊足耐久プロト頂上決定戦

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円