WEC世界耐久選手権第2戦スパは5日決勝レースが行われ、ロマン・デュマ/ロイック・デュバル/マルク・ジェネ組3号車アウディR18ウルトラが優勝。アウディR18 e-トロン・クワトロのハイブリッド車によるデビュー戦初優勝はならなかった。
予選からトップ4を占め、プライベーター勢を寄せ付けない強さをみせつけてきたアウディ勢。4台のR18のうち、2台のハイブリッド車であるe-トロン・クワトロ、そして従来の進化型であるディーゼルターボのウルトラと、どちらのマシンが勝つかに注目が集まった。
迎えたスタートは気温9度、雨は降っていないものの路面はウエットと、スパらしいコンディションに。ポールポジションの2号車R18 e-トロン・クワトロがスタートを決めるが、アンドレ・ロッテラー駆る1号車R18 e-トロン・クワトロがリードを奪う。濡れた路面ではe-トロン・クワトロのハイブリッド四駆が効果を発揮することになった。
しかし、1回目のストップでは、3号車R18ウルトラがいち早くスリックに交換。少しずつ乾いていく路面でスタートドライバーを務めたマルク・ジェネが速さを発揮し、1号車の背後につける。3号車はジェネからロイック・デュバルに交代。デュバルはロッテラーからブノワ・トレルイエに交代した1号車に迫ると、62周目にトレルイエをパス。リードを奪った。
2号車アウディがライトのトラブルやストップ・アンド・ゴーペナルティで遅れる中、レースは3号車R18ウルトラと1号車R18 e-トロン・クワトロの勝負になるが、終盤、セーフティカーのタイミングが1号車のピットストップ直後となり、SC中にピットに向かった3号車のレースを有利に運ぶことに。3号車R18ウルトラが1号車に46秒差をつけ、優勝を飾った。
「序盤のタイヤチョイスが最初のキーで、もうひとつは終盤のセーフティカーだったね。僕のスティントではすごく競争力が高くて、1号車をとらえることもできた。アウディでの初勝利を飾ることができて嬉しいよ」とスーパーGT参戦をスキップしてスパ戦に臨んだデュバルは語った。
2位は1号車R18 e-トロン・クワトロ、3位は4号車R18ウルトラ、そして4位はトラブルを抱えた2号車R18 e-トロン・クワトロとなった。ガソリンエンジン勢最上位は5位のニコラス・プロスト/ニール・ジャニ/ニック・ハイドフェルド組レベリオン・レーシングのローラ・トヨタとなった。6位にもレベリオンが入り、1周差でストラッカ・レーシングのHPD ARX-03aを退け、ガソリン車ワンツーとなっている。
セバスチャン・ブルデー/ニコラス・ミナシアンというコンビで参戦したペスカローロ・チームの童夢S102.5・ジャッドは、トラブルもあり16位で復帰戦を終えることとなった。
LMP2クラスは、JOTAレーシングのサイモン・ドラン/サム・ハンコック組ザイテック・ニッサンが優勝。2位にADRデルタの25号車オレカ・ニッサン、3位にマーフィー・プロトタイプの48号車オレカ・ニッサンが入り、ニッサンエンジン搭載勢が表彰台を独占した。井原慶子がドライブしたローラ・ニッサンはクラス9位だった。
LM-GTEプロクラスは、フェルバーマイヤー・プロトンのマルク・リエブ/リカルド・リエツ組77号車ポルシェ997GT3 RSRが、フェラーリ458勢を抑え優勝を飾った。
